ザラポーチでニジマストップウォーター!思い出したトップの狂気

ルアーレビュー

今回はザラポーチで実釣してきた記事になります。

実はこの記事を書くまでの間に、これまた色々な釣行があったのですが、ブログを書く暇っていうか体力がもたず、ブログ用のノートパソコンを開いたまま眠ってしまったこと数回。

そこでできるだけ早く書きたいのですが、まずはザラポーチの記事からです。

ていっても、放置しているとダメなんです。

悲しいことに、人間の記憶はいつも薄れるもの。

それが良い記憶であろうがおかまいなし。

そのくせ、なぜか辛い記憶ほど薄れない。

で、どうでも良い記憶なんか、新幹線の車窓みたいにあっという間に過ぎていく。

例えばおととい食べた夕飯だとか、その前に友人とした挨拶だとか、コンビニのトイレの近くに置いてあった青年雑誌のタイトルだとか。

けど、人が一番後悔するのは、そのどうでもいいっていう記憶を忘れてしまう事だっと最近気が付いたものの、今思い返すと青年雑誌のタイトルはしっかりと覚えていたαトラウトです。バックトーゥーザフューチャー。

というわけで、今回は忘れないうちに書いておかないとならないザラポーチの記事ですよ。

廃版しているザラポーチをついに手に入れた

実は先日、渓流トップウォーターと題した記事を書いたときに作った「自作ペンシルベイト」ですが、そのルアーを作ったんですよ。

そのルアーを作ったのは、手持ちのルアーにペンシルベイトがまったく無かったから。

ていうか、北海道で釣りを始めて以来、一度もペンシルを買ったことが無かったんです。

だってね、北海道でペンシル売ってるとこなんて無いから

いや、あるかもしれないけどね?

少なくともアメリカ屋とフィッシュランドには一切置いてなかった

それだけは間違いないと言えますね。

もはや北海道にお住まいの方々はお気づきでしょうが、道外の方には「なんでペンシルがないねん」という事についてご説明しなければなりません。

北海道でペンシルベイトは売ってない

まず北海道は淡水ならまずトラウト、ソルトでもロックかトラウトと、とにかくトラウト大国であり、ルアーフィッシングのメインはいつでもトラウトです。

そんなトラウトフィッシングが中心の北海道では、まずペンシルベイトが売ってない。

なので、ペンシルを使おうなんて思うこと自体が物凄い稀なんです。

もちろんペンシルだけでなく、それ以外のトップ系ルアーは軒並み店頭に並びませんし、ジッターバグはおろか、ポッパーも無し。もちろんダッジなんか気配すら感じません。

ただし、唯一見るのがシケイダー。

これはブラウンを狙う人が良く使っているアイテムで、春先から秋の始めまでのセミパターンで数少ないトップの釣りを楽しんでいるってわけです。

というわけでヘドンのルアーは店頭に並ばない

唯一シケイダーだけが人気の北海道のトップシーン。

というわけで、もちろんヘドンのルアーなんてまったく見ません。

クレイジークローラーだってアリだと思うんですが、これが無いんですよね。

まぁヘドンのルアーは元々バスのために作られていますし、トップウォーター中心のメーカー。

シンキングミノーやスプーン、スピナーといった沈みモノ中心の北海道のトラウトフィッシングにはまるでマッチしない。

というわけで、北海道でヘドンはまったくといって良いレベルで店頭に並んでいないのです。

しかし、ある場所をのぞけばの話ですが。

中古ショップにだけザラが居る!

さて、ここまで書けばわかる通り、北海道とヘドン、そしてザラシリーズはまったくもって無関係。もう完全に赤の他人。なんか電車の中で通り掛かるけど名前も知らないあの子レベルなんですよ。

まぁ使ってはないけど、なんか見たことあるっていう人が多いのはネットのおかげであって、実際に触って使ったこともなければ、店に置いてあるのも見たことがない。

しかし、それでもネットを除いてヘドン。しいてはザラが手に入る場所があるんです。

それが中古ショップ。

実は僕も今回のザラポーチをいっつもゴソゴソしている中古ショップで見つけ、一人喚起して買ってきたわけです。

いや、あれはうれしかったですね。

ザラポーチをメルカリで落とそうとしてた矢先に、わずか200円でザラポーチが売ってたんですから。こんなラッキーなことあるかと。

 

まぁ北海道では用のないルアーでし、かなりボロかったですから安いのも当然なんですがね。

それにしても嬉しい。やっぱり中古ルアーは最高です。

それにしても、なぜここまでヘドン不足の北海道に中古ショップにザラがあるのか?

不思議に思うかもしれませんが、これには一応理由があります。

まず北海道の中古ショップでは、バス系のルアーが軒並み売れ残るんですね。

これは中古ショップに行けばすぐにわかることで、基本的に売れるのはスプーン・スピナー・トラウト系ミノーって感じで、それ以外のアイテムは殆ど残るんですよ。

しかし、だからといって中古ショップにはトラウト系ルアーしか持ち込まれないのか?

というと、実際はそうでもないんです。

例えば、僕みたいに本州でバスをやっていた人間が北海道にやってきてトラウトをはじめるんですが、そのための資金として、今まで使っていたバスアイテムを全部売り払うっていうケースがあるんです。

他にも、釣り具の買い取りがうまくいかないとき、本州の店舗からルアーを回してもらうようなこともあるんですが、この時に本州のバス用ルアーが店頭に並ぶ。

しかも北海道の中古ヘドンは付加価値がまるでつかないので、メルカリより鬼のように安い。

こうした流れにより、中古ショップには普通の釣り具屋よりも多く、しかも安くヘドンが並び、その中にザラが紛れ込んでくる。そいつを僕は常に狙っているというわけですね。

まるでオーバーハングの下で虫を狙っている魚みたいな思考ですが、まさにそんな感じ。

みんながミノーを追い回しているときに、一人ヘドンを狙って中古ショップの棚に潜みんでいるのが僕なんです。

激安で手に入れたザラポーチ

というわけで手に入れたザラポーチ。

もはや絶版ルアーというわけで、状態がかなり悪いにも関わらず新品とほぼ変わらない値段で売っているのも普通になってますね。

しかし、200円で購入できたこの事実。

中古ショップの棚で待ち続けていた結果、もはやブラウンよりもトップを意識していた。

いや、バスだって超えてた。

どの魚よりもガッツりザラポーチを喰った。

そういう自負心がありますね、ええ。

それにしても、ペンシルの中でもザラは初めて買ったルアーだった気がする。

僕のペンシルベイトの記憶の多くはサミーで埋められているんで、ザラに手を出した記憶がないんですよね。

ザラシリーズ最小モデルのペンシルベイト

ザラシリーズの中でも最小モデルになるのが、このザラポーチ。

ZARA POOCHというのが正式名称です。

この名前で検索すると大抵ファッションブランドのZARAのポーチバックがヒットするので釣り人泣かせです。

なお、POOCHの英語での発音は「プーチ」であり、意味は「犬」

普通の「DOG」とは違い、あっちでは「ワンチャン」みたいな意味で使っているので、可愛い犬っていう意味でしょうね。

また、事実かどうか確認していませんが、このルアーはヘドンのジャパン特注モデルという逸話があるらしいとネットで見ました。

ただ、裏は取れていませんし、さらに調べると次ことがわかりはじめます。

アメリカでトラウト用アイテムとして宣伝されていた

1990年3月に発売されたField&Streamというアメリカの有名釣り雑誌では、トラウトフィッシングのためのルアーとしてZARA POOCHが取り上げられていました。

walk the poooch(歩くワンチャン)と愛称をつけられつつ、左右に動いてストライク(アメリカ人が良く言うヒットみたいなやつ)させられるよと説明していますね。

特集記事はアメリカはワシントン州にあるトラウト・レイクという、もはや名前まんまなトラウトスポットの攻略記事みたいで、レインボーが浮いている所にライトタックルでぶち込むと釣れるよとか書いてありますね。

 

また、同年の2月号には、3月ザラポーチが発売される広告が出ていました。

しかもこの広告を見る限り、現役のヘドン最小モデル、ティニートビートと同時発売みたい。

ポーチは消えティニーだけが残ってるあたりに、需要の分かれ道が確実にあったんでしょう。後述するアクションの難しさも、やはり廃版になった理由なのかも。

さらに調べると、アメリカ人が好きなトップウォータープラグとしZARAPOOCH(ポーチ)を上げていますね。

他にも、バスフィッシングで釣果が上がるといった意見や、様々なターゲット相手に釣りをできるという意見もありました。

また、アメリカの作家でありプロアングラーであるジェラルドアルミーが、バージニア州の釣りにおいて。

「ZARA POOCHをおすすめしたい」

と記事に書いていたりします。

http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache%3AwGefRfeKrgAJ%3Awww.nvdaily.com%2Fsports%2Foutdoors%2F2018%2F08%2Fgerald-almy-time-to-head-to-the-shenandoah-for-late-summer-river-smallmouths%2F+&cd=41&hl=ja&ct=clnk&gl=jp

この人物はバージニア州には小さなポイントが多く、そこでは小型のベイトや虫を捕食しがちなので、小さなルアーが有効だと説明。ほかにもトビートやザラパピーもすすめています。

 

というわけで、どうやら日本だけの限定ルアー説というのは怪しい。

 

むしろ、その必要性はアメリカのクーリクを舞台としたバスフィッシングやトラウトフィッシングのほうが高い。

というか、僕がトラウトフィッシングに使おうと思ってネットで調べる前の前

もはや発売当初からトラウトフィッシングに用いられていたという事実。

なんてこった、このルアー、最初からソレようだったのか・・・

というか、ペンシルでニジマスやブラウンなどのトラウトを狙うっていう方法は、アメリカではさほど珍しいことでは無いみたいですね。

そもそもザラポーチ自体、ターゲットをバスに限定しないアイテムとして作りだされたのかも。

でなければ、発売直後に雑誌にトラウトアイテムとして掲載されないかなと思ってます。(ヘドンが宣伝で金を払っていると思うんで)

ちなみに、発売は1989~90年の間で、3月説が濃厚。

商標登録を調べた結果、1989年2月27日にヘドンの親会社から「ZARA POOCH」に関する申請がなされていました。

それから雑誌に掲載されるまでの期間を考えると、1989年~90年のどこかで発売されたはず。

どうも80年代~90年代には様々なマイクロルアーが登場しているらしく、今までの大きなルアーから、小さなルアーを使った釣果最優先の釣りに代わっていったようです。(釣り人口が増えて魚がスレたのもあったのかも、このあとリアル系のブームが来ますしね)

しかし、やはり本国アメリカでマニアからは支持されたものの、その需要は伸び悩み、ついに廃版したんでしょう。

ザラポーチをじっくり見てみる

さて、ザラポーチをさらに詳しくみていきましょう。

全長は6cmというとても小さなペンシルベイト。

小魚はもちろん、虫パターンにも有効なサイズであり、ヘドンがこの手のルアーを欲しがった理由もなんとなく察します。

見た目はデザインやフックアイなどを含めてオリジナルザラにそっくりで、完全な縮小版といった具合。

ただ、そのまま小さくしようというデザイナーの心意気が仇となり、ウェイトバランスのコントロールがかなり難しいルアーになったようです。

ウェイトが穴の開いた鉄の玉?

ザラポーチを見ていて一番気になったのが、このウェイト部分です。

もともとザラポーチを狙ってネットで調べていたのは、ごく少数ながらザラポーチをトラウト相手に使っている人がいたから。

そこで僕もザラポーチが手に入れてやろうと思ったんですが、調べてみると。

「ウェイトに穴が開いていてなんか変」

ていう記述がかなり気になったんです。

そこで実際に買ってみてみると、あら不思議。

本当に穴が開いているじゃありませんか。

もしかして、バニラアイスにでも襲われたんでしょうか?

スタンド使いにガオンされたかわかりませんが、ウェイトに亜空間が広がっていますね。

デザイン上の理由で穴をあけたのか?それとも固定のために穴をあけたのか定かではありませんが、たいていのウェイトには穴なんか開ける必要がありません。

しかし、シングルフック化するために標準のトレブルを外してみると、その理由がすぐにわかりました。

これ、ぜんぜんウェイトの役目果たしてないのね。

フック外して水に浮かべたら、ぜんぜん水平になっちゃうの。

なるほど、こういうことかと察しました。

つまり、このザラポーチはもともとトレブルフックの重みでペンシルとしての姿勢を保っていた。

ということでしょう。

まぁすべてのルアーのウェイトはフックの重さを計算に入れて作るものなんですが、にしてもフックに頼り過ぎだろザラポーチ。ラパラのF5だってここまでバランス崩さないよ?

こんな事になってしまった理由は、このボディ形状でしょう。

単純にオリザラを小型化してしまったせいでボディの浮力がまるで足りなくなり、結局ウェイトは飾りとして穴をあけ、フックの重さで沈めようって事になったはずです。

まぁ、これでもちゃんと動けば問題なし。

というふうには、まぁいかないんですよね

フックのウェイトに頼るせいでドッグウォークがしにくい

この間トップウォーターを作ったのと、子供の頃にトップに狂っていたせいもありますが、ザラポーチのアクションについては結構厳しいものがあると感じちゃいましたね。

正直に言うと、この間作った同じサイズの自作ペンシルのほうが断然動く。

ドッグウォークはPEラインを使って初めてまともに出来るレベルですし、ナイロンではスライドアクションは出るものの、滑る角度がかなり浅く、殆ど前方に移動していきます。

つまり、使うのに慣れない限りぜんぜん首振らないんです。

恐らくこのルアーをはじめて使ってまともにドッグウォークさせるのにちょっとした練習が必要なはずです。

 

なので、普通のザラスプークのつもりでネチネチ攻めたろか?とか

オリザラの小型版だと単純に考えて、さらにネチネチいけるやろ?とか

そんな甘い期待は全部吹っ飛びましたね。

さすがヘドン、ぜんぜん甘くない。

これは小さいからなめてたけど、やっぱり違うわヘドンと実感。

なお、使用時にはフリーと直結の両方を試しましたが、やはり直結が一番良いです。

というわけでシングルフック化に挑んだ

まぁ扱いが難しいルアーっていうのがわかって頂けたでしょうが、実は僕、こいつを渓流で使おうとか思ってたんですよ。

まぁ無理じゃないけど無理だよね。

という微妙な意見が僕の中で出てきましたが、まず釣りあがりで自作ペンシルみたいにギュンギュン動かしたりダイブさせたりってのは無理。

やれるとしたらダウンですが、僕がいく渓流、ダウンで攻められるポイント限られるんで、ちょっとそのままだと難しいなと・・・

たぶんアメリカの小さな川では、ドリフトさせつつネチネチ攻めてるはず。

それに、北海道の渓流のトップ系シケーダーもおんなじようなやり方でやるんで、場所によっては全然いけるんですよね。

でも、まずは練習で止水域でやろうと思いましたよ。

このルアーは、まともに動くのは止水しかなさそうです。

 

で、それならやっぱりシングルフック化しないと!ってわけで、トレブルを外してシングルバーブレスに交換です。

 

もちろんトレブルを外すと、ただ水に浮いている棒になっちゃうザラポーチ。

そこでテール部分に板錘を張ってあげて、元の沈み方に戻るように調整しました。

あと、こうしてベリーフックを外してウェイトをテールに集中する形で元に戻すと、ほんのりヘッドが高く浮いてくれます。

まぁだからって使いやすくなるかっていうと、ほんとうにわずかな差しか出ないほどの改良策。

たとえなるなら、少林寺入る前に腹筋だけは鍛えたくらいの感覚。

だからって楽になるわけがないけど、少しましって程度ですね。

 

なお、さらに浮力を保つために後にベリーのヒートンを抜きました。

これでまた少しだけ操作しやすくなりましたから、お持ちのかたは是非試してください。

というわけでダム湖で初のザラポーチ

さて、まぁここに来るまで色々ありましたが、いよいよザラポーチの実戦です。

向かったのは近所のダム湖。

まぁこの時期はさんざん叩かれてしまいスレきったニジマスさんばかりなんですが、それでもザラポーチの初戦で楽できそうな場所がここしか思いつかなかったわけです。

向かったのは朝方で、1時間半ほどを予定していましたが、あいにくの雨。

この寒い季節ならとっくに雪が降ってもおかしくないんですが、雨のほうが寒いから本当にキツイ。釣り場についてそのまま帰ろうかと思いました。

しかし、ここで諦めてはだめ。

せっかく手に入れて、しかも風呂場で練習までしたザラポーチの実戦を諦めるわけにはいきません。

それに、もしかしたらトップにドカンと出てくるニジマスだっているんじゃないか?

という期待も込めて何時もの鱒レンジャーでザラポーチを投げはじめました。

【個人撮影】冬のザラポーチ!【ニジマストップウォーター】

今回は動画も作ってみました。

ひさびさに動画つくりましたが、ブログのために普段から動画はまわしています。

(画像をキャプチャーしてたほうが、わざわざ撮影するよりストレスが無い)

冬の雨の中ザラポーチで釣ってる頭のおかしい男の姿

そして、初登場となる釣りガールがチラっと映っていますので是非ご覧ください。

※(釣りガールは現在拘置所で裁判を待つため以降出演できません)

※(後半でボールベアリングって言ってますが、ボールチェーンの間違いです)

やっぱり釣れないザラポーチ

 

僕「そりゃ、そう甘くないよね?」

 

と、おもわず一人でつぶやいてしまったのは、ザラポーチを投げはじめてから20分後。

朝方で雨が降る冬のダム湖で一人ザラポーチを投げ続けはしましたが、まったくのノーバイト。

バイトどころかチェイスすらない。

おかしい、以前ここで自作ペンシル試した時、かなりバイトしてきたのに・・・

いや、おかしくなんかない。

同じ寒さであっても、春先ならいざ知らず

冬が始まったこの季節にダム湖でザラポーチ投げている

僕がどうかしているんだ。

そう気が付くまで、20分かかったのは我ながら失敗だと思いました。

そうです、土台無理なんですよ。

もうスレてしまったダム湖で、しかも寒くて雨まで降って水温下がってるのにトップで釣ろうとか、気が狂っているにもほどがあります。

むしろこういう時期だと、水深がない渓流のほうがトップで出る気がする。

管理釣り場ならペレットパターンがあるからいける気もする。

でも、ここは野生のニジマスがいるダム。

多少水深があるせいと、もう餌なんか全然食わないせいで、全くの無反応。

無理だって・・・

いやこれ無理だってマジで・・・

と、心が折れそうになってきましたが、それでも僕はザラポーチを投げるのをやめませんでした。

いったい、なぜ僕はこいつを投げるのをやめられないのか?

薄れゆく意識のなか、わずかな疑問を感じた時。

僕は、忘れていたはずのどうでも良い記憶をふと思い出したのです。

トップの釣りは薬物と同じ

「トップの釣りは薬物中毒みたいなもんだ、危ないんだよ」

その言葉をはじめて聞いたのは、中学校の時。

先生の運転する車に乗り、釣り場に向かうときに聞いた言葉です。

この先生は寺崎。

あの当時、教師ではありましたが、第一次バスブームの盛り上がりの中では良く見かけた中年男性の一人であったのは間違いありません。

車はサーフに、学校に来るのにロッドホルダーにはロッドが6つ。

荷台にはタックルボックスを積み、学校が終わるとすぐさま釣りに出かけるほどの釣り好きです。

そんな寺崎先生は僕以上にバス釣りに狂っており、僕にトップの釣りを教えた張本人。

なにかと釣りをたとえに出しては釣りの話をしようとする先生でしたが、その先生のおかげで「釣りクラブ」なるもが作られ、僕はクラブ活動と称してバスフィッシングをする機会すら得ていたのです。

そして、この時もクラブ活動の最中。

クラブでは寺崎先生と僕の他にも5名ほどの釣り好きが集まり(タカノリ、タケちゃん、タカミチなどなど)近くにあるバス釣りの有名スポットで釣りを練習するというものでした。

その最中、タカノリがバカみたいに騒ぎつつ、車の中にあったロドリを見つけ「トップってなんですか?」という質問しだしたのが始まりでした。

寺崎「いいか?トップっていうのは水面に浮くルアーでやる釣りだ。それと、釣りっていもの自体が中毒みたいなもので、先生もやめられない!そのなかでも一番危ないのがトップウォーターだ!これで人生狂わせた有名人とかいるから」

それがズイールの代表だったのかは不明ですが、僕は思わず口をはさみます。

僕「どうしてトップの釣りは危ないんですか?」

みんなが寺崎がまた釣りジョークを言っていると半笑いだったのに対して、僕は真面目に質問しました。

実は、僕にとって寺崎先生は釣りの師匠。

自作ルアーにはじまり、釣り方からルアーの選び方まで僕に教えた人物。

(ただし、ルアー以外にもヘラ釣りの師匠の国語教師もおり、その先生も釣りクラブに)

そんな先生が「やばい」という釣りがあるというなら、それは気になってしかたない。

すると、寺崎先生はしめたという顔で、僕に向かって指をさしました。

寺崎「いい質問だαトラウト!トップウォーターっていうのはな、最も釣れないのに、最もはまってしまう釣りなんだ」

僕「釣れないのに・・・ですか?」

寺崎「そうだ!やってみればわかる、この釣りがなんでやめられないのか」

そう言われ、なにがなんだかわからない内に釣り場に到着。

季節はたしか夏の終わりで、葦がかなり成長していたのを覚えています。

そこで寺崎先生はサーフのロッドホルダーからベイトタックルを取り出し、僕に渡しました。

寺崎「やってみるか?トップウォーター」

僕は一瞬迷いました。

この時、僕はワームかクランクでのルアーしか経験がなかったですし、ベイトも覚えたばかり。

なのに、先生が渡したタックルの先にあったのは、見たこともない大きなルアー。

しかも、リップもついておらず、形もただまっすぐで、どんな動きをするのかまるで見当がつかず、不安しか感じない。

ただ、そのペイントに惹かれたのは覚えています。

全身が銀色に覆われ、顔がはっきりと映るような曲面。

まるで映画に出てくる未来の脱出カプセル。そこにフックが2つと、玩具みたいなペイントアイ。

SFチックなのに、まるで昔の映画みたいなルアーです。

α「先生・・・なんですかこのルアーは?」

リアル系ルアーばかり欲しがっていたあの頃の僕には、まるで予想もしない異質な存在でした。

寺崎「こいつか?これはな、“ザラスプーク”だ!」

α「なんですか、それ」

寺崎「聞いたことないよな!アメリカのルアーだよ、まぁいいからなげてみろ!それから動きを教えてやるから!」

そういわれて、僕は初めて手にしたザラスプークを投げ、見事バックラッシュ。

寺崎先生が文句をいいながらそれを直し、仕切り直し。

 

寺崎「ロッドをしたにむけて、思い切り振れ」

α「え?振る?」

 

また意味不明なことを言ってきます。

ロッドをしたに振るとか、もう言ってることがわかりません。

 

寺崎「まぁいい、こうやるんだよ」

 

と、混乱している僕の手を抑え、そのままロッドを振り始めました。

すると、ルアーがいきなり首をふる。

ただの棒が、水面をすべり、右へ左へ。

 

寺崎「これがドッグウォークだ!わかるか!」

α「え!?ええ?わ・・わかりません!!

寺崎「バカかお前は!次やってみろ!」

α「ええええ!???」

 

寺崎先生は異様なほど豪快で、もはや体育のノリで釣りを教えてくるのがタマに傷でしたが、それでも僕はさっきの感覚を頼りに、一人でロッドを操作してみます。

しかし、ルアーはただまっすぐこちらに来るだけ

寺崎「もっと強く!こう!パンッ!ってやるんだよ!」

先生が隣で腕を下にブンブン振っているのを見て、恐る恐るロッドを思い切り下へ。

で、ロッドの先が地面に刺さりました。

 

先生「おまぇええ!!何やってんだぁあ!!!俺のロッドがぁあ!!」

α「ヒィィイイイ!!!すいません!!」

 

ロッドを泣きそうになりながらチェックする寺崎先生はしばらく悲しい目をしていましたが

寺崎「まぁいい、とにかく練習してみろ!でもロッドは交換な!」

僕「はい・・・」

と言われ、ザラスプークだけを貸してもらい、僕のロッドでドッグウォークの練習をすることになったのです。

それから、毎日僕はザラスプークを投げ続けました。

最初はドッグウォークすらできず、バックラッシュばかり。

それが何度も繰り返していると、ある時、突然左右へと首をふりはじめるんです。

──動いた!首を振った!

そう思うと、突然うれしくなりはじめ、どれだけ長くドッグウォークを続けられるか練習しはじめました。

まだ一匹も魚は釣れてません。

にもかかわらず、僕はドッグウォークの練習のためだけに野池に通い、ザラを投げました。

来る日も来る日も投げては、ルアーを動かすだけ。

もはや釣りといえるような日々でもないのに、僕はひたすらドッグウォークの練習だけとやり続けたのです。

それから2週間程過ぎたころ、ようやくバスが水面を割ります。

場所はため池。

オーバーハングの下に入れ、ドッグウォークで木下を抜けた直後。いきなり水しぶきがたち、水面を割ったかと思った瞬間、唖然としていた僕の手元に重みが伝わり、遅れてフッキング。

わけもわからずリールを巻く。

何がおきたのかわからない。

ようやく事を理解したのは、ランディングしたわずか30㎝のバスを見た時でした。

その興奮は次の日でも覚えているほどで、寺崎先生にザラを返すころには、僕は自分のトップウォーターを買うために雑誌をにらみはじめました。

 

それから20年近くが過ぎようとする今、僕の相手はブラックバスではなく、ニジマスになり、使うのもスピニングタックル。

竿先についているのも、あの時貸してもらったザラスプークではなく、動かないザラポーチ。

普段なら慣れているのに、この時ばかりは不慣れな相手と道具でのトップ。

だからこそ、よけいにあの時を思い出します。

動かないザラポーチをなんとかして動かそうと必死にロッドをあやつるため、なんどもキャストを繰り返し、ノットを変え、ロッドワークを変える。

すると、そのうちに考えることすらやめる。雨が降っているのも忘れてルアーを動かすことだけに集中しはじめ、気が付けば1時間。

はじめてザラスプークを貸してもらい、バスを釣りあげるまでの数週間を思い出すには十分な時間が過ぎたころ。そして、なぜ先生が「トップの釣りは危ない」と言っていたのかようやく思い出し、あとでそれをブログに書こうと決めた時でした。

ザラポーチがついに襲われた!

場所はインレットの際、このポイントに着いた時に真っ先にキャストしたはずのエリア。

もしかしたらと思いながら、理由はわからない。

だけど、そこにもう一度投げ入れ、ドッグウォークをさせ続けます。

すると、なにか追っているのが波の間に微かに見える。

チェイス?

手が止まりそうになる自分に気のせいだと言い聞かせ、ロッドワークを繰り返すと。

水 面 爆 発

と思って気が付けばフッキングされたルアー。

遅れてロッドをあおると、ドラグがじわじわと出ていきます。

もう考える余裕はないけれど、考えないと。

あわてず巻く、定速で巻く、トップで食った魚はどこに掛かってるかわからないから暴れさせない──ロッドは下へ──もっとゆっくり──竿で──ここで立てて──もう少し──ネット・・・ネット!!

興奮の末釣り上げたのは、40㎝程のニジマス。

この朝、岸際にいて、唯一活性が高かった魚でした。

釣り上げた時に、久しぶりにガッツポーズをしていたのを思い出します。

ザラポーチは僕にトップウォーターを思い出させた

 

こうしてザラポーチでの初フィッシュを決めたあと、僕はようやくずぶぬれの体を寒さを思い出し、急いで家に帰りました。

で、このブログを書いていて、またどうしようもない忘れていた記憶を思い出したのですが

あの後僕が雑誌をみてサミーを買った後、ヘドンのペンシルが欲しくなり、やっぱりザラスプークを買おうと釣り具やに行ったんですよね。

でも、その時に店にはザラスプークはなくて、なぜかザラパピーがあったんですよ。

で、そのパピーが小さいのを釣り仲間にバカにされたので勝手に「ハイパーザラスプーク」って呼んでたんですね。ハイパーとか付けたらカッコイイだろうなと。

で、カラーは先生とおんなじシルバーメッキだったんですけど、先生がいる前じゃ使わなかったですね。今思い出してもはずかしいですね。当時はそれ以上ルアーが買えず、ザラはパピーで終わっちゃいましたし、今や手元にザラはポーチ一個だけになっております。

扱うのが面倒なペンシルベイトですが、僕にとってはトップの釣りの狂った部分を思い出させてくれたし

人間の記憶なんてのは、まぁアテにならないものですね。

そこでまたどうしようもない記憶を思い出したんですけど

この冬にトップで釣るやつ、正直みんな狂ってると思いますよ。

ユーチューブとかブログじゃまだペンシル投げてるじゃないですか。

やめとけーって、もういいかげんメタルバイブ投げろーって思うよね正直。

まぁね、一番寒い北海道でペンシルで釣ってる僕が一番狂ってるので何も言えないですけど?

でも非効率すぎるよね、いくらなんでも。

 

「そういいつつ、またペンシル投げちゃんでしょ?」

 

って聞かれたら、まぁねって苦笑いするしかない。

小さいからってザラは決して安全ってわけじゃない

それに、今じゃすっかりペンシル中毒患者の仲間入り。

みんな、やっぱりトップは危ないよ!

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