音の鳴るリールが渓流と相性が良いという話/ダイワのオールド・スピニングリール『ポーツライン/GS700』

リール
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今年はスピニングタックル中心で釣りをしようと思い色々とリールを見ていたのですが、あまり好きなデザインのものがない。そこで古いスピニングリールを見て「おーなんか好きだよこういうの」と思いハマってしまったダイワのスポーツライン系。そして買ってしまったGS700についてのお話。

そして渓流にはアブやミッチェルといったオールドスピニングリール使いが多いわけですが、アブのような古いリールにありがちな「ジージー」という音が、じつは渓流とは相性が良いという一風変わった渓流とオールドスピニングリールの話です。

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ダイワ・スポーツラインのGS700を買った

時々思うのは、ダイワやシマノもレトロなデザインのリールを作れば良いのに・・・と思うこと。皆がスタイリッシュで鋭角的なデザインが好きではないし、僕もその一人。なのでこういう古いデザインも最近のリールに取り入れてほしい。あと音がなるやつが欲しい。音のなるスピニングリールは、渓流と相性がとても良いから。

でも古いリールも剛性が結構高くてお値段激安。そんなダイワのGS700が好き。

そして今は無いこの無骨で怪しいデザインが魅力的。昔よくあったダイワの民俗学的かつオカルティックな文様などがいいですね。

そしてボディの側面にシルバーのプレートみたいなものが付いているのも良い。これがSS700になるとアブっぽいエンブレムのデザインになるんですが、GSまでは無骨なプレートがリールの横にズドンとクッツイたような感じです。

ちなみにハンドルのシールが取れてたので、似たような黒いシールを張り直し。昔のリールはなんでもシールが貼られております。

そしてウッドハンドルノブですが、こういうレトロなハンドルは今は見かけませんね。たぶん2000年初頭で絶滅したと思われますが、こういうの好きですよ。

ちなみにSSとかGSっていうのは、当時のダイワのリールのグレードらしく、この大きさならSSが一番上で、次がGS、そのあとSTというグレード順。

なのですが、中身はホボ一緒で、ボールベアリングが一個増えるとSSになるような仕組みだったらしく、SS買う意味あるか?などと言われていたとかなんとか。

とはいえ、スポーツラインマニアと化した僕的には次はSSも手に入れたいところです。

メンテナンスがされていれば今でも使えるオールドダイワスピニングリール

オールドリールの中でも全く人気がなく、昔は数百円位でサビサビのモノがカゴ売りにダサれていることもありましたが、最近はネットで買う事も増えてきました。

そして、ネットで買うリスクは当然あるものの、なぜかパーツが交換されていたり、ボールベアリングが増やされていたり、きちんとメンテナンスされているモノにタマに出会うこともあります。

このGSがまさにそうで、外装にヤレ感がだいぶ出ている(ここが好き)のですが、巻いた感じは未だ健在というか、なんか妙に軽い。グリス交換したか、もしかしてベアリング増やした?という疑い。

そして一番の不安箇所、ベイルアーム周辺も至って正常。ローラーの回転もよければ、アームの戻りも良い。もしかしてバネとか交換してる?という位に、思いの他シッカリ。

というわけで、激安のわりにメンテやパーツ交換の手間もなく、このまま渓流で使えてしまいます。

それから、スプール部分の傷などの気になるところは削ったり磨いたりしてあげるだけ。

使うラインはPE一択。それだけでトラブルが一気に減るので、こういう古いリールでも現役になります。

ジリジリ音かサイレントか選べるようになっている

昔のスピニングリールは大抵ジリジリと音がなるものと思っていましたが、国産スピニングリールの場合、リバース用のレバーがリール下部に付いていて、ジリジリ音ありかサイレントか切り替えるように作っていたらしいです。

このダイワのGS700も同じでリール下部のレバーで音を切り替えられます。ただ、サイレントモードはリバース可能なモードになってます。

昔は音がなるのが普通だったスピニングリールですが、やはりみんな静かなほうが良い!っていうんで、次第にサイレント仕様になっていくのは当然として、リバース用のスイッチもいつの間にか消えましたよね。僕が子どもの頃のスピニングリールって、みんなこのスイッチがありました。

そして、このスイッチを使った釣り方なんてのも存在しましたね。川でスプーンやミノーを投げたあと、リールを逆回転させてドリフトさせる方法です。

僕も川で釣りをする時、よくリールを逆回転させてルアーをポイントに送り込んでいて、魚が掛かったらリーバスオフにしてファイトします。

ただ、このスイッチがいつの間にか消えたので、そんな技も長らく使っていません。逆回転できるリールが懐かしいです。あれはあれで便利。

そんな技もGS700なら可能なので、ぜひこのスイッチを活用して釣りをしていきたいです。

渓流だと古いリールのジージー音が心地よくなる不思議な現象

それと、こういう古いスピニングリールを渓流で良く使う人・・・といっても、まぁカーディナルしか居ないんですけども。

「そんな古くてジージーなるリール辛くない?」

と思う人もいると思います。

ええそのとおり、たしかに辛いです。とくにローギアはキツい。

しかし、実はこの「ジージー」という音だけに関しては、みなさまが思うより辛くない。

むしろ、渓流という場所では不思議なことに「程よいサウンド」に思えてしまい、音のなるリールのほうが好きという人がけっこう居るんです。

なぜかというと、渓流の音と、リールの「ジージー」という音が、とても相性が良いというか、あの音が渓流でなると心地よく聞こえてしまう。音はなめらかで、丸くなり、耳の良い人であれば、もはや音色そのものが変わったのか?と思うような変容ぶりをみせます。

というのも、渓流がそもそもウルサイというのが原因なんですよね。

一見して癒やしの空間であり、静かな水の音が響き渡る世界・・・と思われがちですが、本当はとってもうるさい。水量の多い日に渓流の落ち込みの飛沫音を初めてレコーディングした時、渓流のdbのデカさにびっくり。ソフトに表示された想像よりはるかにデカい波形は、まるで道路工事現場のような大きさ。とくに低~中音が想像以上にデカい。

でも渓流で聞いていた時は騒音なんて思ったことは一度もない。数値を見たあと、ヘッドフォン越しに聞いてはじめて音圧の高さを感じれますが、それでも騒音と思わない。

それが水の音の不思議で、本来は大爆音すぎてストレスを感じるレベルの騒音なのに、人間にとっては心地よく聞こえてしまうし、高音域が少ないのに、キラキラとした軽やかな音に聞こえる。

いや、人間というより、生き物にとって心地よい音色だからこそ、渓流の音色は騒音とは捉えていないわけで、これが別の音だったら絶対に無理というか・・・もう大騒音すぎて頭が痛くなり、ストレスで誰も近寄らない最悪の釣り場になります。

それくらいウルサイ渓流は腰につけているクマ用の鈴の音すら聞こえにくい場所。

そして当然、古いリールのジリジリ音も、実は大して使い手の耳には届いていません。

録音してヘッドフォンで聞けば音の違いは聞き取りやすいですが、それでも渓流の音に隠れて聞こえる。

さらにリールを巻いている人間の鼓膜はもっと聞こえません。なんせ渓流の音をもろに受けているので。

また、種類がまったく異なるスピニングリールのジージー音は、周波数だけで見ると、じつは渓流の持つ中低音域に重なるところが結構あります。

そして、複雑かつ多彩な渓流の周波数と位相にどこかで必ずぶつかる。

重なり合う空気の振動はぶつかり混ざってしまったり、その位相が逆側に傾けば打ち消されていく特性があります。ようはノイズキャンセリングです。

そのため、ジージーとなるリールの音は渓流の音の中に半分溶け込んでしまい、リールから出た空気の振動が鼓膜に届くころには、より小さく、滑らかな音へと変わってしまうんです。だからクマ避けの鈴が出す高音のほうが渓流の音と被ってないので、まだ聞こえやすい方なんです。

なので、あのジージーうるさいと言われる音も、使い手にとって耳触りになる事はとても少ない。

いや、むしろ程よく心地いい音にすら感じてしまうんですよ。水の中に溶けたような音。不思議ですし、だからこそ、こうしたジリジリ音がなるようなリールの愛好家が今でもいます。

ただ、使い勝手はそりゃ悪いです。

まぁ渓流って本当はダイワなら2000S-XHみたいな、小型、軽量、ハイギアみたいなリールが一番有利というか、そもそもハイギアじゃないと渓流は厳しい。

でも、ローギアでも釣りはできるし、結局アンラーが頑張ってリール巻き巻きしたら良いじゃないか、ガンバルのも趣味だよ!と言わんばかりにジージーうるさいリールで必死に巻く。そんな渓流のルアーフィッシングも楽しいものですし、わりとドMな人がやってるな・・・というイメージがありますね。ええ、僕もそうです。自分をいじめるのが好きなんですねキット。

渓流だからこそ音のなるリールが似合う

というわけで、渓流だからこそ古い音のなるリールが似合うし、むしろその音が水の音にとけこみ、かなり柔らかく、小さく気持ちいい音になる・・・というのが僕の見解。これが他の静かな場所だったら、やはり音のしないリールのほうが使っていて気持ちいと感じます。

なので、渓流だからこそ古いスピニングリールが似合うというか、使う人が多い。それはデザインとかファッションという意味以外に、古いスピニングリールの出す音が、渓流のサウンドと相性が良く、むしろ心地が良いとすら感じるから。

そして釣り上がりの小さな渓流での釣りは、常にトゥイッチを連発するため、スピニングリールの場合、巻き心地も大して気になりません。スピニングのハンドルはベイトに比べると長いので、かなりカクカクと動きながら巻きますし、シェイクのおかげでノブはガタガタに動く。

なので、古いスピニングリールでも特別巻き心地に辛さを感じません。最新のリールだろうが、巻き心地の良さを体感する事が少ないのが渓流ですから。

だからこそ、渓流では古いスピニングは今でも現役ですし、たまには音のなるスピニングの新作も作ってもらえたら嬉しいなと思います。

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