渓流釣りは、山の中を歩き、草をかき分け、沢沿いを移動する釣りです。
水の音を聞きながらヤマメやイワナを狙う時間は最高ですが、その足元や草むらには、意外と面倒な相手が潜んでいます。
それがマダニです。
だいたい5月頃から活発に動き始めると言われているマダニですが、過去に釣り場から持ち帰ってしまった経験がある僕としては、やはりマダニ対策は大事。
そして蚊やブヨのように「刺されたらかゆい」くらいで済む虫とは少し違います。マダニは皮膚にしっかり食いついて長時間吸血し、場合によっては感染症を媒介することがあります。
渓流釣りにいってもしマダニに吸い付かれたら、だいぶ嫌な一日になります。
マダニはどこにいるのか
マダニは、山、草むら、藪、森林、笹やぶなどに生息しています。
渓流釣りでよく通る場所と、かなり被っています。
たとえば、こんな場所です。
- 川へ降りるまでの草むら
- 笹やぶの中の踏み跡
- 林道脇の草地
- 釣り上がり中に体が触れる岸際の草
- 休憩で腰を下ろす草地や落ち葉の上
渓流釣りの場合、川の中だけを歩いているつもりでも、入渓・退渓のときに草むらを通ることが多いです。
むしろマダニ対策で一番油断しやすいのは、釣っている最中よりも「川まで行く途中」と「帰り道」かもしれません。
渓流釣りでマダニに付きやすい行動
渓流釣りでは、知らないうちにマダニが付きやすい動きをしています。
たとえば、藪をこいで川に降りる。
膝くらいまである草を押しのけて歩く。
倒木をまたぐ。
釣れそうなポイントを見つけて、岸際の草に体を寄せる。
これは、釣り人としては普通の行動ですよね。
でもマダニ側からすると、「人間、来店しました」みたいな状態。
特に注意したいのは、膝から下、腰まわり、袖口、首まわりです。
草や枝に触れる場所から服に移り、そのまま服の内側に入ってくることがあります。
服装でできるマダニ対策
マダニ対策の基本は、肌を出さないことです。
渓流釣りでは暑い日でも、半袖・短パン・サンダルのような格好は避けた方が安全です。
渓流釣りなら、以下のような服装が現実的です。
全身に虫除けスプレーをする
まずは渓流に入る前に全身に虫除けスプレーをします。
マダニに効果があると言われるのはディート」または「イカリジン」などが含まれている虫よけスプレーであり、市販のスプレーには大抵これらの成分が含まれています。
これを全身にくまなく塗布することにより、マダニが張り付くのを防ぐというのが基本となります。
長袖・長ズボンを基本にする
真夏でも、山の中では長袖・長ズボンが基本です。
暑さ対策としては、薄手で乾きやすい化学繊維のウェアが使いやすいです。
綿素材は汗や水を吸うと乾きにくく、体が冷えやすいので、渓流釣りでは少し扱いにくい場面があります。
マダニ対策だけでなく、転倒や枝による擦り傷対策にも長袖・長ズボンは役立ちます。
ズボンの裾をふさぐ
マダニは足元から上がってくることがあります。
ズボンの裾が開いていると、そこから侵入される可能性があります。
対策としては、
- ズボンの裾を靴下に入れる
- ウェーダーやゲーターで裾を覆う
- 登山用スパッツを使う
- 足首まわりに隙間を作らない
このあたりが有効です。
見た目は少し野暮ったくなるかもしれません。
でも、マダニに噛まれるよりはマシです。釣り場でファッションショーをしているわけではないので、ここは実用性優先。マダニに噛まれないような工夫を施しましょう。
明るい色の服を選ぶ
マダニは小さいので、黒や濃い色の服だと見つけにくいです。
明るい色の服なら、付着したマダニを発見しやすくなります。
渓流釣りでは汚れを気にして暗い色を選びがちですが、マダニ対策としては白、ベージュ、グレー、ライト系の色も選択肢に入ります。
しかし、派手な格好をして魚に見られるのがいやだという人もいるかもしれませんが、虫対策をするなら明るめの色のほうが有利です。
山を降りたら全身にコロコロローラーを掛ける
徹底的にマダニ対策を行うなら、釣りが終わったあと全身にコロコロローラーなどを行ってマダニがくっついていないか確認します。
そこまでしなくても大丈夫とおもえば良いですが、マダニが多い地域では下山後に粘着テープなどを使って全身をチェックするのも大事です。
虫除け剤は補助として使う
マダニ対策には、虫除け剤も補助的に使えます。
ただし、虫除け剤を使ったからといって完全に防げるわけではありません。
大事なのは、
- 服装で肌を守る
- 草むらや藪をなるべく避ける
- 帰宅後に体をチェックする
- 必要に応じて虫除け剤を使う
という組み合わせです。
釣行中に気をつけたいこと
マダニ対策は、出発前の服装だけで終わりではありません。
釣りをしている最中の行動も大事です。
草むらに座らない
昼食や休憩のとき、つい草の上や落ち葉の上に座りたくなります。
でも、そこはマダニがいる可能性があります。
休憩するなら、
- 岩の上
- 開けた砂利場
- 草の少ない場所
- レジャーシートの上
などを選んだ方が安心です。
特に、笹やぶの近くや湿った落ち葉の多い場所は避けたいところです。
藪こぎを減らす
渓流釣りでは「ここから入れば近いな」と思って、強引に藪を抜けたくなることがあります。
でも、マダニ対策としては、できるだけ藪こぎを減らした方がいいです。
遠回りでも、林道や踏み跡を使った方が安全なことがあります。
釣り人は近道が好きですが、山の近道はだいたい何かを失います。
体力、ルアー、冷静さ、そしてたまに皮膚の安全。
定期的に服をチェックする
釣行中も、休憩のたびに服を軽くチェックしましょう。
見る場所は、
- ズボンの裾
- 膝まわり
- 腰まわり
- 袖口
- 首まわり
- 帽子や首タオル
このあたりです。
マダニはすぐに刺すとは限らず、服の上を移動していることもあります。
早めに見つけて払い落とせれば、それだけリスクを減らせます。
帰宅後のチェックがかなり重要
マダニ対策で重要なのが、帰宅後の確認です。
渓流釣りから帰ったら、まず服を脱いでチェック。
そのあと風呂に入りながら体を確認するのがよいです。
特に確認したい場所は、
- 首まわり
- 耳の裏
- わきの下
- 腰まわり
- 足の付け根
- 膝の裏
- 足首
- 頭皮
です。
マダニに刺されても、すぐに痛みやかゆみが出ないことがあります。
「かゆくないから大丈夫」と思わない方がいいです。
服と道具も確認する
体だけでなく、服や道具にもマダニが付いている可能性があります。
帰宅後は、
- ウェーダー
- ゲーター
- 帽子
- グローブ
- リュック
- 首タオル
このあたりも確認しましょう。
特にリュックは、地面に置いたり、草に触れたりしやすい道具です。
車に積む前に軽く払っておくと安心です。
マダニに刺されたらどうする?
もしマダニが皮膚に食いついているのを見つけたら、無理に引き抜かない方が安全です。
吸血中のマダニを無理に引き抜くと、マダニの一部が皮膚内に残ったり、体液が逆流したりするおそれがあるとされています。
やってはいけないのは、
- 指で無理に引っ張る
- 潰す
- 火であぶる
- 自己流で取ろうとする
- 放置する
といった行動です。
「自分で取れそう」と思っても、そこは一回落ち着いた方がいいです。
皮膚に食いついている場合は、皮膚科などの医療機関で処置してもらうのが安心です。
刺された後は数週間注意する
マダニに刺されたあと、すぐに何も起きなかったとしても油断はできません。
数週間ほどは体調の変化に注意して、発熱、頭痛、だるさ、発疹などが出た場合は、医療機関を受診した方が安心です。
受診するときは、医師に以下を伝えるとよいです。
- いつ渓流釣りに行ったか
- どの地域の山や川に入ったか
- マダニに刺された、または付着していたこと
- 発熱、頭痛、だるさ、発疹などの症状があるか
「ただの風邪かな」と思っても、山に入った後なら一応伝えた方が安心です。
渓流釣り用マダニ対策チェックリスト
釣行前に確認するなら、こんな感じです。
出発前
- 長袖を着る
- 長ズボンを履く
- 足首まわりをふさぐ
- 帽子をかぶる
- 首タオルを用意する
- 必要に応じて虫除け剤を使う
- 明るめの服を選ぶ
釣行中
- 藪こぎをなるべく減らす
- 草むらに直接座らない
- 休憩時に服をチェックする
- リュックを草むらに置きっぱなしにしない
- 袖口や裾の隙間を確認する
帰宅後
- 服を脱いでチェックする
- 風呂で全身を確認する
- 膝裏、足の付け根、わき、首、頭皮を見る
- ウェーダーやリュックも確認する
- 刺されていたら無理に取らず医療機関へ行く
- その後、数週間は体調変化に注意する
まとめ
渓流釣りは、自然の中に入っていく遊びです。
だからこそ、魚だけでなく、熊、転倒、増水、そしてマダニにも注意が必要です。
マダニ対策で大事なのは、難しいことではありません。
全身に虫除けスプレーをする。
肌を出さない。
藪の中を歩きすぎない
釣りが終わったら全身確認する。
この基本を押さえるだけでも、かなりリスクを減らせます。
渓流釣りは楽しいです。
でも、釣りから帰ってきて「今日の釣果はヤマメ1匹、マダニ3匹」みたいな結果になると、さすがに笑えません。
安全対策をしっかりして、山の中の釣りを気持ちよく楽しみたいところです。

