ルアーは集魚効果を狙いフックの動きで食わせる

渓流ルアーHOWTO
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フックは最も重要なルアーといっていいです。というか、ルアー本体よりも重要と思っています。

なぜなら、僕は水中で魚のバイトシーンをよく見ています。自分で撮影したものや、人が撮影したものなど、いろいろな映像を見ていると、魚がどのようにルアーにバイトしているのかがよくわかります。

その中で注目したいのは、魚のバイトには大きく分けて2種類あること。

それは、ルアー本体へのバイト。

そして、フック自体へのバイトです。

そして魚がヒットする時、その多くがフックを狙ったバイトであること。逆にルアーにバイトしても乗らないときは、ルアー本体へのバイトであることが多い点です。

つまり、魚たちはフックの存在をしっかり見ていて、そのフックに興味をそそられ、フックめがけて攻撃してくるんです。

これらの現象を見て、僕は「そうかー、そもそもフックがルアーなんだなー」と思った次第です。

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フックもルアーの一部であり大半のルアーはジョイントルアーである

「針だけで魚が釣れる」

そう言われ、トラウト釣りで大昔に流行したのが通称「赤針」と呼ばれるもの。フライフィッシングから始まったとされていますが、起源はわかりません。なにせ赤針の存在をはじめて知ったのはアメリカのバストーナメントの記事だったから。

そこではポッパーに赤いフックをつけることでトーナメントに優勝したプロの記事が載っており、魚は赤い針めがけてバイトしてくると言っていたのです。

「そうかー、なら針を赤くすれば釣れるんだな!」と思ったのは僕だけではないはず。持っている針をマジックで赤く塗って投げていたわけですが、実際に確かな効果があったのかはよくわかりません。なんせ、釣れない時は釣れないから。

なら、そもそも針だけでやってみたらどうか?

と思い、子どもの頃に実験したのが、渓流のべ竿スタイルの餌釣りでエサを使わず、フックに色だけ塗って魚を釣ってみようという実験でした。

相手は近所の渓流にいた養殖場から逃げたニジマスやヤマメ、そして野池のバス、用水路にいたフナ、コイなど。

これらをフックだけで釣れないだろうか。ミミズを掘るのが面倒だし……と思い、マスバリを赤くヌリヌリ。そうすると、なんかものすごく細くてグインと曲がったミミズっぽく見えなくもない。

これに餌釣りと同じくガン玉をつける。そして水中でエサ釣りの要領で水の流れにあわせて流しながら、竿先をチョコチョコ動かしたり、フワッフワっと動かしていると、これが釣れるんです。というか、魚種関係なくフックを動かしてやると、その動きにつられるような不思議なバイトしてくるのです。それもフックだけでやっているから、ものすごい小さな魚までも釣れるから面白い。タナゴなんかも赤針で釣れます。

じゃあ他の色ならどうだろうか?と思い、次に実験したのが白。

しかし白いマジックではなく、絵の具です。これを針に塗ったあと、接着剤で固める。そうすると、なんか針自体が小さな白くて長細い虫みたいな物体になりました。

で、それを使うと、また釣れる。それも渓流ではこっちのほうが釣れる。鱒類の反応は明らかにこっちが上。

さらに赤針とは反対に、水中で白い針は驚くほど目立つので、バイトの瞬間が目で見えてしまう。だから竿先にアタリが出るよりも、白い針が消えた瞬間にアワセを入れる。目で見てアワセを入れるぶん魚が乗りやすいので、赤針よりも多くの魚が釣れました。

続いて試したのがピンク針。これも釣れます。白バリよりも釣れるかもと思ってましたが、実際は白い針と同じような感じ。

バスなんかもこれでよく釣れますが、コイやフナは赤針より食わない気がしました。

どうやら魚によって好きな針の色があるのか、それとも住んでいる環境のせいなのか? コイやフナはむしろ黒い針のほうが釣れる気すらしました。

それはともかく、そもそも魚は針だけで釣れる。

それも、色を塗った針はよく釣れる。赤でも黒でも白でも釣れるし、そもそも銀色の針にもフラッシングという効果……つまり白い針と似たような効果がある。

そして、魚はフックの動きそのものに誘われて、つい口を使っていることがあるんです。

あまりに攻撃的な魚はフックに食ってこない

このフックに食ってくる魚というのは、キスバイトみたいな柔らかいバイトが多いです。

激しく襲ってくるというより「なんだこれ? さわってみよう」みたいなノリというか、興味本位でつい口を使ってくる感じ。ただ、それゆえに活性に関係なく釣れてしまう。とくに目立つ白バリが水中をフワフワ上下していくアクションは、いろんな魚が、つい「なんだ? これなんだ?」と触ってしまうような魔性の代物でした。

一方で、ルアー本体に対するアタックは逆です。

とくにアクションをかけているときは、猛烈な勢いで突進バイトをする。あきらかに威嚇、捕食、攻撃性をあらわにした動きが多いです。

そして、そんな時の魚はフックめがけて襲ってこない。そもそもルアー本体にめがけて噛みつき攻撃を仕掛けてきています。

とくにこれが顕著なのが細長いスプーンや、スピナー、そしてスピナーベイト。

こうしたルアーは「ブレードバイト」といわれるミスバイトが多発するルアーなんですが、スピナーがとくに多い。トラウトの多くはフックなどに目もくれず、ブレードめがけて真横からバイトを仕掛けてくるので半分位はフックに乗りません。乗ったとしても外掛かりがとても多いのが特徴です。

同じくスプーンもこれが起きます。しかし、スピナーほどではありません。それだけアピールが弱いってこともあり、魚は後ろからしっかり付いてきて、観察し、それからフワっとバイト。

この時はたいていフックめがけて食ってくれるんですが、猛烈にスプーンを襲う魚は、フックではなくスプーン本体めがけてバイトする。掛かったとしても、それは外掛かりでバレやすい傾向があります。

こうした傾向はマス類にとても多くて、攻撃的な時ほどルアー本体を襲う。ミノーも同じで活性が高い魚をトゥイッチ連発で釣ってると、ミノーを真横から、しかも背中側からグワっと咥えるようなバイトが増えてしまい、フッキングしなくなるんです。

しかし活性が低ければ、ルアーの後ろをフラっとついてきて、ルアーではなく、くっついてるフックにフワっとバイトしてくれる。

このせいで、活性が良いほどバイトは多いが、そもそもルアー本体めがけたバイトばかりなので乗りにくい。活性が低いとバイトが少ないものの、一発でフックを食ってくれるので実は乗りやすい。ほんと難しいもんですね釣りは。

トップに出るトラウトはほとんどフックを狙わない

そして、もっともフックを狙わずルアー本体を狙ってバイトしてくるのが、落パク。

そして、この落パクを狙うトラウトのトップウォーターフィッシングほどフッキングしないものはありません。ええ、セミ系がとても有名ですね。

この釣りはとっても乗せにくい。体感ではバスの3倍は乗りません。あっちのほうが口も大きいし、吸い込みバイトしてくれる。

けど、トラウトは口が小さいし、吸い込みではなく突進噛みつきバイトなので、ルアーがパーンと弾かれるか、水中に引きずり込まれただけで終わり。

そして、落パクでのバイトの場合、トラウトは絶対にフックを狙いません。このリアクションバイトでは、まず間違いなくルアー本体を食い上げてきます。斜め下側からルアーのお腹めがけて突進。フックなんてものは見てません。

その結果、フックは口に入らない。

これが原因で、トラウトのトップウォーター系ルアーとして有名なシケーダー系は難しいルアーとなっています。あのルアーだけはトレブルフックを使っている人が多いですが、それでも乗りません。そもそもフックが口に入ってないから。

そしてしっかり口の中に掛かっている場合、じつは水中で行われた二度目のバイトで乗っていることが多い。

トラウトが虫を捕食する水中映像を見たことがありますが、彼らは吸い込むようなバイトができないので、一度目のバイトで虫が口に入らないことが多い。だから沈んで水中でフワフワしてる虫めがけて二度目の突進バイトを行いますし、それを狙って周囲の魚も水中に巻き込まれた虫めがけて襲います。バスケのリバウド狙いみたいなもんですね。

ということもあり、落パクやドリフト狙いのトップの釣りで一度目のバイトで即アワセるのは厳禁。バスも同じなんですけど、トラウトはよけいにやってはダメ。彼らはそもそも、虫を水中に引きずり込むために一度目のバイトを行い、二撃目の食い直しを狙っています。なので、その二撃目にアワセないとならない。

とはいえ、ここでもフックは狙われない場合が多い。なんせ興奮してますからね、お魚さん。だからほとんどルアー本体に向かったバイトで、まぁ乗りません。落パクやホットケメソッドでのバイトは圧倒的に乗りませんね。

しかし、同じトップでもペンシルのように動かしていくと乗りやすい。ゆっくり巻きながらチョコチョコルアーを動かすと、テールのフックもユラユラと動きます。そして、魚は落パクのような反射バイトはせず、まずはルアーの後方について観察。するとルアー本体ではなく、プラプラ動くフックが気になり、そこへバイトをしてくるので乗りやすさは圧倒的です。

ルアーも大事だけどフックを動かして魚を釣ろう

というわけで、フックというのは魚を釣るためのルアーの一部。

というよりは、魚を釣っている時、半分くらいはルアー本体ではなく、フックめがけてバイトしてきてると思っても良いです。

なので、ルアー本体というのは実は集魚板みたいなもの。本命はフックであって、そこに向かって食ってくれなきゃ、そもそも釣れない。とくに口が小さいヤマメ系はフックを食わせなきゃ釣れないし、掛かっても外掛かりでバレやすいです。もし外掛かりが多いとおもったら、ルアーを動かしすぎているかもしれません。

そして低活性の魚を釣る場合、意識すべきはルアーの動きではなく、フックです。

そもそもルアー本体は動かなくても大丈夫です。それはただ「遠くの魚をおびき寄せる」くらいの効果で使うイメージです。

たとえばオモックとか、ステルス系とか、スティック系とか、色々有名な動かない系ルアーがありますが、あの時実際に魚に口を使わせる最後のアピールを行っているのは、ルアーではなくフックです。

そして水中バイトをみればわかりますが、彼らは明らかにフックを凝視しており、動かないルアーではなくて、プルプル動くフックに大して、鼻先を触れるかのような、ものすごいフワっとしたバイトを仕掛けてくるんです。

なので活性が低い魚ほどルアーのアピールを消して、反対にフックの動きが目立つようにしたほうが釣れます。ユックリ上にあげたり、下にさげたり、やわらかくシェイクしたりして、フックを魚の目の前でプルプルさせる意識をもつ。

すると「なんだこれ? ちょっと触ってみよう」と、フックめがけたキスバイトを誘発させるように意識しましょう。

フックとは、どんな魚も釣ってくる最強のルアーです。

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