ヤマメやイワナ、そしてニジマスといった魚は、怒らせて釣ることができます。
それは自然と釣りをするなかで、誰もがやってる「同じコースになんどもルアーを通す」というムーブのことで、無意識にやってたりしますよね。
ただ、このような釣り方は、普通はスレていて、見える魚を釣る時にやることが多いかもしれません。
というか、そうした魚を釣る方法の一つとして僕が昔やっていて、その名も「釣れたら負け」というもの。このゲームを魚にしかけると、不思議と見えるバスが釣れたりしました。
そして、このゲームは魚を釣るのが勝ちではなく、魚からルアーを逃げ切らせたら勝ち。なので、釣れたら負けなんですよね。
しかし、そうやってルアーを動かすと、不思議と釣れる。なにせ、魚はイライラすると、怒り出したりすると、一気にルアーを襲ってくれるのです。
まずは魚と鬼ごっこ
見えているスレた魚を釣るのはだいたい無理。小さなルアー、大きなルアー、ハードもソフトも関係なく、だいたいルアーを観察するだけで終わりか、ガン無視。
そこで、そもそもルアーを追わせるようにしなきゃいけないのですが、ゆっくり動かしても無理。ぎゃくに速く動かしたほうが反応はするけど、そこでパー！と逃げるやつも多くて、もうどうしたら良いかわからなくなりました。
そこで、もう釣れないならと、ヤケクソなゲームを思いつき実践してみました。
それが通称「釣れたら負け」ゲーム。
どうせ食わない魚なら、かってにこっちで「釣れたら負け」というルールをつくり、まさに圧勝のゲームをしてやろうというという魂胆。当時よく言われていた「働いたら負け」というネタをパロディにした「釣れたら負け」というジョークみたいなもの。なんだそれ、頭が弱すぎるだろ・・・と、一人で勝手にウケていました。
まずはルアーを魚から離れた場所に投げる、それからゆっくり魚に近づけ、それを魚が見つけたなというギリギリの距離まで近づいた瞬間、ピョコピョコ動かして魚を煽り、スススウー！と魚とは反対の方向にルアーを逃げさせる。ピンポンダッシュみたいなもんですね。
すると、魚がスススーっと追いかけてくる。様子見の動き。けど、こっちは食われたら負け、そこでトゥイッチを軽くいれて逃げる。でも逃げ切りすぎるとつまらないので、ルールとして一定の距離までいったら止まることにする。そして、また魚を煽りつつ、近づくのをまつ。
そしてさっきの動きをもう一度繰り返す。食いつけるか、食いつけないかという絶妙に魚がイライラしそうな距離感で動かす。ちょうどイタズラな子どもが鬼ごっこする時みたいな逃げ方。ほらほら、こっちだよーといいながらキャッキャしながら逃げるアレですね。
すると、今度は予想以上の速度で魚が動く。うっわハッヤ・・・っと、リールの操作が間に合わず、ロッドをたてて逃げる。
すると、まるでドッグファイト中の戦闘機みたいに、急上昇で逃げ切ろうとしたルアー。
それを凄まじい勢いで追撃してきたバス。
そして、水面爆発。
「えええ釣れんの！？」
と、まさか釣れると思ってなかった上に、それもトップで食うなんて思ってもみなかった僕はパニックになり大慌て。なんとか釣り上げたはいいものの、なんで釣れたのかもわからないし、だいたいとっくに諦めていたものだから、まさに謎です。
しかし、後にノーシンカーワームをつかった逃避アクションなどを知ったり、エイトトラップといったパニックアクションなどを見たりして「あーなるほど、逃げるやつを追いたくなるのね・・・だから、あの時、魚から逃げてたら釣れたんだ」と学んだわけですね。
魚は復讐する
こんな経験により僕が知ったのは、魚は人間と同じように、何かに失敗すると、かなり悔しがる。
さっきのようにルアー鬼ごっこをして、魚からルアーを逃げ切らせていくと、どんどん魚はイライラとしはじめる。
そして、一度目ではルアーを観察していたダケの魚も、まったく同じコースにルアーを投げ入れると、今度は猛攻撃をしかけて来たりするんです。
これはつまり「復讐」ですね。さっき逃したあいつだ！今度は逃さない！というような、怒りを感じる猛攻撃です。
これがバスではなくとも、フィッシュイーターには多く存在しており、一度のがした獲物の動きを学習し、次に出会った時には猛攻撃を仕掛けてくることが時々あります。
そして、こうした習性は渓流のマス達にもあります。
一投目は釣れない。けど２投目には足元にまで接近。さらに３投目、着水後に即バイト。
こうして、投げるたびに魚がルアーへと接近しはじめ、ついに３投目ではルアーを発見した途端、一気に襲いかかってくる。
だから渓流では、同じポイントにコースだけを変えて、なんどもルアーを放り込むと、魚の活性が上がって釣れることがあります。
ただ、これは魚がルアーを見切って無い時だけに起きます。かしこい大きなマスが興味本位でルアーに近づいて、弱めのバイトをする時「あ、これ違うな」といって、いきなりキャンセルしてご退場。ギリギリルアーに触れる直前に偽物だと気がつくことがあります。
小さなマス類でもルアーに一度でも触られたら終わり。しばらく時間がたったあとにルアーを投げるしかありません。
また、こっちの姿を見られてもだめ。人間がいると知られたら、まず警戒モードに入ってしまいます。
そして、魚はすぐ飽きます。
なんどもルアーを見せ続ければ、必ずどこかで飽きられる。なのでルアーチェンジをすると良い時もありますね。
しかし、活性が良い魚の場合、ルアーを投げ入れるたびに活性がどんどんと上がることがありますから、何度も同じポイントにルアーを投げ入れるのは良い作戦だったりしますね。
ルアーを素早く動かす場合は何度もルアーを通し続けよう
このように魚を悔しがらせ、動きを学習させてバイトに至る事があるため、渓流では同じポイントに何度もルアーを投げ込み、素早くルアーを動かすことで釣れる事が結構多いです。
なので、一投げ目が肝心とはいっても、そこから３投くらい同じポイントに投げ込むのはとても効果的です。
とくにミノー系は魚にとって挑発的であり、魚のバイトを避けるような動きが多いので、最初のミノーを逃してしまい、フックにすら触れられない魚が多いです。
しかし、そういう魚は再び同じ物体が現れると「さっきのようにはいかないぞ！」とばかりに、猛追撃をしてバイトしてくるかもしれません。
なので、じつはまったく同じコース、まったく同じアクションを繰り返すことにより、渓流魚の活性をあげて釣り上げている事があります。
そして、トゥイッチを多用するミノーイングの１投目は「活性をあげる」くらいの気持ちで放り込んでも良いですね。そもそも魚がバイトしにくい動きをさせる釣り方がミノーイングですから、むしろあえていつもより高速で、ほぼ魚が釣れないようにしてあげてもいいです。なんせミスバイトされ見切られるくらいなら、高速で逃げ切って魚に「くっそ！逃げられた！」と思わせたほうが結果的にメリットがあるのがルアーフィッシングですから。
魚を怒らせると釣れるよ
ここに魚はいないなーと思っても、じつはちゃんと魚がいて、じつはルアーに興味をもっているかもしれません。
そして、一回目のアプローチで釣れなくとも、２回目や３回目でイライラしてバイトしてくる魚もいますから、一投でポイントを見切らずに渓流をつり上がっていきましょう。
