お盆になると、「海や川に行くな」「釣りをするな」と言われることがあります。といっても関係なく行くって人も多いでしょうが、周囲からは「お盆は釣りをしたらダメだ」と止められることもあるでしょうね。
かくいう僕も昔から、お盆の時期になると水辺には近づかないほうがいい、みたいな話を何度か聞いたことがあり、お盆に釣りに行こうとすると止められるタイプ。
その理由として有名なのが、
「お盆に水辺へ行くと霊に足を引っ張られる」
というもの。
なかなか恐ろしい話ですが、では実際のところ、なぜお盆に釣りをしてはいけないと言われるのでしょうか?
今回は、お盆に釣りへ行くのが良くないと言われる理由について考えてみたいと思います。
お盆は殺生をしてはいけないから
まず一番わかりやすいのが、お盆の時期には殺生を避けるという考え方です。
お盆はご先祖様の霊を迎えて供養する期間。
そんな時期に魚を釣ったり、生き物を捕まえたりするのは良くないと考えられてきました。
釣りの場合、現在ではキャッチ&リリースも一般的ですが、昔の釣りは今よりも「釣った魚は食べる」という意味合いが強かったはずです。
となれば、釣りそのものが殺生として見られていても不思議ではありません。
とくにお盆のような供養を大切にする時期なら、
「わざわざ魚を殺すようなことをするな」
という考えになったのでしょう。
ご先祖様を供養する時期だから
そもそもお盆は、釣りに行くための休みではなく、ご先祖様を供養するための期間です。
墓参りをしたり、家族や親戚が集まったりと、昔から家の行事として大切にされてきました。
そんな中で、一人だけ朝から竿を持って川へ行けば、
「お前は何をしに帰ってきたんだ」
と言われても仕方ありません。
今ではお盆休みを普通の大型連休として過ごす人も多いですが、昔は今以上に家族や先祖を大切にする行事だったでしょう。
そう考えると、お盆に釣りへ行くこと自体があまり歓迎されなかったのも納得できます。
お盆に川へ行くと霊に足を引っ張られる?
お盆の水辺にまつわる話で、一番有名なのがこれでしょう。
「お盆に海や川へ行くと霊に足を引っ張られる」
という言い伝えです。
子供の頃に親や祖父母から聞いたことがある人もいるかもしれません。
お盆は亡くなった人の霊が帰ってくる時期とされています。
そのため、海や川にも霊が集まっていて、水の中に入ると引き込まれてしまう。
そんな話が各地で語られてきました。
もちろん、本当に霊が足を引っ張るのかどうかはわかりません。
ただ、この言い伝えについて考えてみると、意外と現実的な意味もあったのではないかと思います。
「霊に足を引っ張られる」は水難事故を防ぐため?
昔の川や海は、今よりも安全設備が整っていたとは考えにくいです。
ライフジャケットもなければ、スマートフォンもない。
何か事故が起きても、すぐに助けを呼べるわけではありません。
そんな時代に子供へ、
「川は危ないから行くな」
と言ったところで、遊びたい子供はなかなか言うことを聞かないでしょう。
しかし、
「お盆の川には死んだ人の霊がいて、足を引っ張られるぞ」
と言われたらどうでしょうか。
僕なら子供だったら絶対に行きません。
そう考えると、この手の怖い言い伝えは、水難事故から人を遠ざけるための昔なりの知恵だった可能性もあると思います。
お盆の時期は実際に水辺が危険なこともある
迷信とは別に、お盆の時期に水辺へ行くなら普通に注意が必要です。
8月は台風や大雨が発生することがあります。
とくに渓流の場合、自分がいる場所では雨が降っていなくても、上流で大雨が降っていれば突然水位が上がることがあります。
これがかなり怖い。
普段なら簡単に渡れる場所でも、水量が少し増えただけで危険度は一気に上がります。
渓流釣りでは川を何度も渡ることもありますし、足場も滑りやすい。
そこに増水まで加われば、霊に足を引っ張られなくても普通に流される可能性があります。
ある意味、お盆の川が怖いという話は、今でも完全な迷信とは言い切れないのかもしれません。
海ではクラゲが増えると言われることもある
海の場合、「お盆を過ぎたら泳ぐな」と言われることがあります。
その理由としてよく聞くのがクラゲです。
夏の終わりに近づくにつれてクラゲを見かける機会が増え、刺される危険が高くなる。
そのため、「お盆を過ぎた海は危ない」という話につながったとも言われています。
もちろん地域や海況によって違いますが、水辺そのものに危険が増える時期だったことが、昔からの言い伝えと結びついた可能性はありそうです。
結局、お盆に釣りへ行ったらダメなのか?
結論から言えば、お盆だからといって釣りそのものが禁止されているわけではありません。
ただし、昔から釣りを避けるよう言われてきた理由には、
殺生を避けるため。
ご先祖様を供養するため。
水難事故を防ぐため。
水辺にまつわる信仰や言い伝え。
こうした色々な事情が混ざっているのでしょう。
個人的には、「霊に足を引っ張られる」という話は迷信だと思いつつも、水辺に近づかせないための教訓として考えるとなかなか面白いと思います。
そもそも渓流では、霊よりも増水や転倒のほうが遥かに怖いです。
お盆に釣りへ行くのであれば、昔からの言い伝えを笑い飛ばすだけではなく、
「この時期は水辺で事故を起こさないよう気をつけよう」
という戒めくらいに受け取っておくのが良いのかもしれません。

