秋の穏やかな午後、投げた仕掛けが流れるままに任せ、のんびりと竿先を見つめる。風がそよぎ、鈴が「チリン」と響くたびに、釣り人の心は少し浮き立つ。だが、それは風なのか、それとも魚からのアタリか――その一瞬の戸惑いこそ、釣りの醍醐味と言えるでしょう。
今回は、セリアで手に入るクリップ式の鈴をレビューしつつ、その使い心地や魅力について触れてみようと思います。
クリップ式鈴とは?アナログアイテムの魅力を再発見
釣りの世界は、魚群探知機やスマートアプリといったテクノロジーの進化とともに便利になってきました。しかし、古き良き釣り具には、今もなお根強い魅力があります。その代表例が、今回紹介する「釣り鈴」です。
アナログアイテムの持つ魅力
「釣り鈴」はシンプルな構造ながら、実用性に優れています。
- アタリを音で知らせる:ロッドに装着した鈴が「チリン」と鳴り、魚の動きを即座に知らせます。
- 自然との一体感:静かな釣り場で鈴の音が響くと、まるで自然と対話をしているような感覚に包まれます。
- 使いやすさ:クリップ式であるため、初心者でも簡単に装着可能です。面倒な設定は不要。
セリアのクリップ式鈴の特徴
セリアのクリップ式鈴は、鉄製で素朴なデザインが特徴的です。最新アイテムにはない郷愁を感じさせるこのアイテムは、アナログ好きのアングラーにはたまらない魅力です。
- 無骨なクラシックデザイン:シンプルな作りで、釣り場に馴染みます。
- ケミホタルが使えない:これは夜釣りの際に不便な点ですが、その代わり「音だけ」でアタリを楽しむ新しい体験を提供します。
- 100円の手軽さ:もしも壊れても、気軽に買い直せる価格設定も魅力です。
何かをしながら釣りを楽しめる
釣り鈴を使った釣りは、釣り以外のことをしながらでも釣りが楽しめるのが魅力です。
例えば僕の場合は、よく置き竿に鈴をつけたあと、竿の隣に座って本を読んでますね。
これは子どもの頃からのクセで、コイのブッコミ仕掛けをしたら、あとは小説なんかを読んで魚をまつのが昔からの習慣と化してるからです。
この時間が好きですし、こうして他のことをしながら魚を待てるっていうのは、けっこう贅沢なことなんですよね。あくせくしてなくて。
だから、釣りそのものに集中するようなルアーフィッシングをやりながらも、ノンビリと本をよみながら釣りができる釣り鈴を使った釣りもタマにやっているんです。バランスですねバランス。
ダイソー製の釣り鈴との違い
セリアの鈴にはケミホタルを装着する場所がありませんが、ダイソー製はそれが可能です。これにより、夜釣りではダイソー製が一歩リードするかもしれません。
- セリアの音:軽やかな「チリリン」という音が特徴。むかしながらの鈴ですね。
- ダイソーの音:少し重めの「ガシャガシャ」って感じの音がします。海釣りなど、音がかき消されがちな場所でも使いやすい気がしますね。
実戦投入!セリアのクリップ式鈴で釣りが変わる瞬間
湖畔に腰を下ろし、投げ竿をセットして、静かな時間に身をゆだねる。風が吹くたびに鈴が「チリン」と鳴り、何も起こらない時間がかえって贅沢に感じられます。釣りはただ魚を釣るだけではありません。釣り人にとって、竿を握る瞬間や、アタリを待つ時間そのものが、もう一つの目的ですからね。
音に頼る釣りの醍醐味
音に頼って釣りをするというのは、ルアーフィッシングをメインでやってる僕みたいなアングラーにとっては、まったく正反対の釣りです。
まずこの手の釣りは、だいたい置き竿。
そして竿先でヒットを確かめたり、鋭い合わせを入れるなんてことはない。基本は放置。
こういう音の釣りは、むしろ罠をはって、そこに獲物がかかるのを待つようなタイプの釣りなので、攻めのルアーフィッシングとはまさに正反対の釣り方といえます。
そのぶん、ルアーフィッシングにはないノンビリさというか、贅沢な時間の使い方ができるのが良いところですね。
アクティブに歩いて攻める釣りをしたいならルアーフィッシングを。
その反対に、湖畔や海辺でのんびりしながら釣りをしたいなら、鈴の音を楽しめるような置き竿の釣りが良いと思っています。
セリアのクリップ式鈴が活きる釣り場
クリップ式の釣り鈴は基本投げ釣りでつかうものです。
なので淡水域ならコイなどが中心。海ではなんでもつかえますが、カレイを釣る人が使っているイメージがけっこうあります。
ようは、仕掛けを基本動かさない釣り用。
ただ、この釣り方で釣れない魚は少ないですし、五目釣りでも鈴を使うことが多いです。
たとえば、海辺に車をとめて、竿を仕掛けて、そのまま車にもどり、あとは魚がかかるのを車の中で待つ。こういうスタイルの投げ釣りは僕もけっこうやってましたが、やっぱり鈴ありきの釣りでしたね。
- 沼や湖でのコイ釣り:のんびりと置き竿で待つ釣りに最適。アタリが来た瞬間の「チリン」は格別です。
- 海の投げ釣り:広い海原でも、クリアな鈴の音が響きます。アタリを音で確実に捉えたいときに活躍します。
- 家族との釣り:子供が「お父さん、鈴が鳴ったよ!」と喜ぶ瞬間も、釣りならではの醍醐味です。これがただの風だったとしても、家族で笑い合えるのが釣りの良さです。
風にも波にも負けない!でもセリア鈴の弱点も
釣り鈴は魚がかかった時だけでなく、風や波にも反応して音が鳴り響きます。
これを正確に耳で聞き分けるのはとても難しいので、だいたい鈴の音が連続して鳴り響いたら竿先を確認しに行くのが定番ですね。
ただ、あまりにも魚が釣りたいと焦ってると、どんな鈴の音にも反応して竿を確かめに行くことになるので、そのあたりは心のゆとりというか、余裕が必要かもしれませんね。
誤鳴りとの戦い――風に鳴らされる鈴
釣り場では、風が強い日になると鈴が絶え間なく鳴ることもあります。毎回「来たか?」と期待しつつ、何度も空振りするのも釣り人の宿命です。
- 「またか……」の連続:風に鳴らされるたびにロッドを掴む、その繰り返しもまた釣りの一部です。
忘れ物には注意!
クリップ式の鈴は、使い終わった後に竿に付けたまま忘れがちです。
それでも別に良いのですが、やはり竿に傷がつく原因になるので、釣りが終わったら鈴は外すようにしたほうがいいですね。
それから、こういう鈴は小さいがゆえに目立たず、そのまま釣り場に置き去りにしてしまうこともあります。100均の鈴だからといって釣り場に捨てるようなマネはもってのほか、釣り場は必ずキレイに使うよう心がけ、忘れ物のないようにしてください。
家族や仲間との釣りでも鈴は活躍
家族での釣りは、鈴の音がエンターテイメントになります。子供たちは「鈴が鳴った!」と叫ぶたびに目を輝かせ、大人たちはその様子にほっこりと心を温められるでしょう。
また、こういう釣りは竿は放置でいいので、その間に仲間たちとの会話を楽しむこともできます。
キャンプと一緒に釣りをするような場合も、こうした釣り鈴をつかった釣りは有効といえます。
何度でも楽しめる誤鳴り:たとえそれが風や波のいたずらであっても、子供たちにとってはそれもまた楽しい体験。
失敗も思い出に:海藻を釣り上げてしまっても、鈴が鳴った瞬間のワクワク感は、そのまま家族の笑い話になります。
セリアの鈴を使いこなして釣りをもっと楽しもう
セリアのクリップ式鈴は、釣りの楽しみ方を広げるきっかけになります。アナログな道具だからこそ、感覚を研ぎ澄ませて釣りの奥深さを味わうことができるのです。
キャンプでのアラームとして
キャンプ場でテントの入口に取り付けておくと、動物が近づいたときに鈴が鳴り、簡易アラームとして機能します。アウトドア全般で活躍するこのアナログアイテムは、使い道が豊富です。
防犯対策に使える
自宅のドアや窓にクリップ式鈴を取り付けると、開閉時に音が鳴るため、不審者の侵入を察知することができます。思わぬ場所で活躍するのも、この鈴の魅力です。
まとめ――セリアのクリップ式鈴で釣りをノンビリたのしむ心を
セリアのクリップ式鈴は、アナログな釣りの良さを再発見するための素晴らしい道具です。夜釣りでのケミホタル非対応という不便さも、逆に釣り人の感覚を研ぎ澄ませる良い経験になります。
次回の釣行には、ぜひ安い投げ竿と、鈴を連れて行ってください。風に吹かれても、波が立っても、セリアの鈴が鳴るたびに心が躍る――そんな新しい釣りの世界があなたを待っています。