AI対人間?釣り映画「釣神Ⅱ フィッシングマスター」をレビュ~人は競い合うために釣りをするのか~

釣り作品
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さて、前回ご紹介した伝説の釣りVシネ「釣神 フィッシングマスター」ですが、

その続編として制作されたのが今回ご紹介する「釣神Ⅱ フィッシングマスター」です。

この二作目もナカナカに良い。というか前作よりもバトル感が増しているのが良い。そして、なんかトンデモな自動バス釣りシステムが登場するのが良い。あれは良い。あれは良いぞ。すっごい香ばしくて好きだ。

このSF設定ありきのバスフィッシングバトルが後半に差し迫る中、ついに出てくる「秘密兵器のルアー」というのも良いですね。今回はかなりバスフィッシングバトルしてます。

さらに作品のテーマとしては、「なぜオレはバスを釣るのか?」という、逆に前回よりシンプルなものになっている。

そして、釣り系ドラマやアニメが定期的に出てくる昨今、それらが完全にスルーしている「釣りの闇」を描いているのが、この作品の面白さ。

でまぁ今回の闇は「競い合い」ですよ。

釣りって、競い合いじゃないよね。うん、それがふつう。

でも実際に釣りをしてる人間からすれば、そうじゃないんだよね。このSNS時代、どうやっても人は釣りで競い合う。釣った魚のデカさ、サイズ、それだけのために釣りしてるやつも多いし、むだな小競り合いもネットでやってる。アホらしいけど、これは事実。

いや、それだけじゃない。その競い合いがスポーツになり、賞金まで出るようになって、数々のトッププロが生まれた。それがバスフィッシング。日本では成立しないと思われていた釣りのスポーツ化はバスフィッシングが可能にした。

だがしかし、それで良かったのか?釣りは本当にスポーツなのか?
そして、勝てばいいのか?そんなもんかよ釣りって、己に勝つとか、相手に勝つとか、そんなもんが釣りなのか?

という疑問が本作に随所に登場する。いいねぇ、いいよぉ、今回も闇がふけぇ。けどそれが良いのよこれが。

とくに、この問題にからめて今回はAIが出るんですよ。熱いねぇ。しかもAIを駆使して釣りをする最強の敵と、人間が戦うという激アツの構図。いいねぇ好きだよ。

そして伝説のバスイレイザー・レイは一体なんのために釣りをするのか絶えず自問自答を繰り返す。
金のため、戦いに勝つため、そのために釣りをしているのか?でもそれって、全てのバサー、いや釣り人に実は共通するところじゃないのか?。そうさ、僕らは競うために釣りをするのか?いや、そうじゃないだろ釣りは!もっと、もっと面白いもんだったろ!

という深いテーマを、めちゃくちゃ浅いハチャメチャなVシネクオリティでお送りしてくるうえに、SF要素も加わったことで、実は1より2のほうが好き。

というわけで、釣神Ⅱについてご紹介していきましょう。

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映画「釣神Ⅱ フィッシングマスター」の見どころ

さて、本作の内容は前回の続き。
つまり一作目みていないと、まったくわかりません。
キャストは前回と変わらず。

本宮泰風・嘉門洋子・福田佳弘・照屋友季子・安岡力也・永倉大輔・チューヤン・ミッキー・カーチス

そして代表的な配信先はU-NEXTですが、探せば他にもあるかも。


「釣神 フィッシングマスター2」をU-NEXTで視聴

いやね、実は僕このVシネハマっちゃいまして

もう1が好きな僕はこのメンツが好きすぎる。

まぁとにかく本宮さんがいいのよね、ヤクザじゃない役もハマるよねやっぱ。男気あふれるけど爽やかな感じが。こんなアングラーいたらカッケーってなりますもん。
てか、なんか御本人もこの後に釣り好きになったとか噂がある。そして一作目よりキャストが上手い。なんか上達してるんですよね。

そしてヤクザ側は、やっぱり曲者感がすっごい前作から続投の親分のミッキー・カーチスがふつうのヤクザの親分じゃない、なんかヒョウヒョウとしているけど怖い人感がいいのよねぇ。

それに永倉さんという「ザ・嫌なヤクザの若頭」がいるからこそ際立っているのがいい。
いいねぇ、これ結構好きだね。あんまりVシネのヤクザでこういうタイプの人いないから、かなりクセになります。

と、ヤクザキャラの話は置いておいて、まずはストーリーについて軽く紹介。


【簡単ストーリー】
「バスイレイザー」として知られる卓越した釣り師、黒神レイ。

茜村でのバス釣り大会で優勝してから1週間が経ったが、レイはその勝利が謎の香港人チューヤンの一言によって支えられたものであることに虚しさを感じていた。一方、刀根組のリーダー刀根は、同大会でレイとの取引で手に入れた遊魚権を利用して高層ホテルの建設計画を進めていた。レイに対する復讐心を燃やす刀根は、そのホテル建設を賭けて再びバス釣り大会を開催し、レイを打倒するための新たな刺客を送り込む。

その刺客とは、かつてバス釣りトーナメントで連戦連勝を誇り、天才的なキャスト技術を持つ八木沼隼平、さらにも加わっていた。八木沼の卓越した技術とチューヤンの緻密な策略、二人の最強コンビを前に、レイは苦悩することとなる。

果たしてレイに勝機はあるのか・・・

・・・と、いうわけでして、今度も利権絡みのヤクザのトラブルにバスプロが挑む!という構図なんですが。この映画の見どころは、前作より明らかにパワーアップした「とんでもフィッシング」ですよ。

バスプロVSヤクザの釣りバトル!

今回はまさにこのバトルそのものがメイン。というか、このバトルまでの流れがかなり熱い。クオリティは当然Vシネですが、お決まりの展開をしっかり重ねているおかげで、前作よりもノリが良い。

しかも今回はヤクザらしく、湖の地上げをやってきますし、それを防ぐためにレイがバス釣り勝負を挑むのがわかりやすい。そして激アツとなるのが、ルアー職人が作った伝説のルアーが登場すること。グランダー武蔵的な流れです。

秘密兵器「ケン ポップ」

そうして主人公に渡される伝説のルアー。それが、ポッパーです。それはレイ専用にチューニングされた黒いポッパー。

そう、派手なルアーにスレたバスには黒が効く。特にトップウォーターでは黒が効く。おまけにフェザー付きか、こいつは凄いルアーなんじゃないのか・・・!

と思ってよく見たら、こ、こいつはケンクラフトのルアー「ケン ポップ」じゃないか!

説明しよう。

ケン ポップとはケンクラフトから発売されていたポッパー。

ただケンクラフトでポッパーといえばバスパーなわけだが、実はこのケン ポップも良く売っていた。というか買った。そして、めちゃくちゃ安かった記憶がある。

この一見なんの変哲もないポッパーだが、実は本当になんの変哲もない。

というか、良いという評判すら聞いたこともない。というか話も聞いたことない。もはや特徴など何も無く、完全にバスパーの影に隠れるどころか、いつのまにか現れていつの間にか消えたルアーの一つである。

そいつを黒く塗ったのが、この伝説のルアーなのである。

だが、黒く塗るのは何も間違っていない。実際に僕もルアーをマジックで塗って釣れたことがある。そして湖が濁っている時、黒は効く。トップならシルエットがハッキリと出る。

しかし、序盤からハンドメイドルアーを作っている感を出しているイカついルアー職人力也さんが「これを使え、これはオマエの親父のために作ったルアーだ」と言って懐から出したのが、まさかのケン ポップ・・・・うそだろ・・・ケン ポップだぞ!力也さん!

だが、このケン ポップにはきっと何か凄いチューニングが施されているのだ。そしてきっとウッド製に違いない。そうさウッド製のケン ポップだ。そうに決まってる!

登場!AI的な自動バス釣りシステム!

そして試合になるとこれが1番すごい。さっきのケン ポップのことなど誰もが忘れてしまう。

なぜなら今回のトンデモバスフィッシングは前回とはレベルが段違い。前作のように全員スピニング一択ハードルアーバトルという男前フィッシングではない。

というか、今回はなんとベイト使いがいる。
ただそのベイト使いがやっているのが、自動バス釣りシステム。

ようは、AIでバス釣りをしてるのである!

説明しよう。

自動バス釣りシステム、またの名を「バーチャルバスフィッシングシステム」とは、本作に登場する架空のバス釣り用システムのことである。このシステムは前回から登場するデータフィッシングを得意とする中国人バスプロことチューヤンが作り上げたもので、様々なデータを元にバスの位置を完全に把握。さらにヒットルアーやアクションのパターンまでも計算することができる恐るべきシステム。もはやライブスコープなど目ではないどころか、そもそもこれは釣りなのか?というレベルの卑劣な代物である。

というかこれ、ようはAIである。

学習データをネットから拾ってきてるわけでなく、チューヤンが地道に足で集めて苦労のすえ作ったバスフィッシング専用AIなんですよ。

しかもこのバスシステム、船の自動制御まで行う。つまりアングラーはシステムの指示に全て従い、ルアーをキャストし、アクションを加えるだけで釣れ続けてしまうのだ。

ただし、この指示というのがエゲツない。システムの要求通りのキャストをしなければならないし、リーリング速度も指示どおり行う必要がある。つまり、キャストが下手、アクションが下手ではシステムの要求に応えられない。これは腕利きのアングラーにしか扱えない、プロ専用のシステムなのだ!

といった具合に、本作は大変熱い設定が盛り込まれており、前作よりも僕は好き。

なんせAI出ますからね。昔からこういう設定好きなんですけど、今や時代はAIですよ。僕もコードとかもうAIに書いてもらってますし、いろんな所でAIを使ってます。

そんな時代に、おそらく当然のごとく出てくるのが、釣り専用AIです。

そして、これはバスのトーナメントなどで使われる可能性が1番高い。かつて超高級だった淡水魚探がバスプロのモノだったように、競技の世界では常に最新の機材が投入される。

でまぁ今、まさにAIを使った釣りシステムが登場しつつあり、いくつかその手のサービスや実験を見てきました。ただ、使い物になるものはない。これは膨大な量の学習データがネット上にあるわけではないので当然だし、この映画1番のフィクションは、そのためのデータをチューヤンが足で稼いで短期間に集めれるという部分。それはまず無理。

しかし今後はどうなるかわからない。

なんらかの方法でとある湖に関する膨大な釣りのデータが手に入るようになれば、AIを使った釣りシステムが作れるかもしれないし、それは確かに夢がある。

だが、それは釣りといえるのか?ビジネス用途ではまったく問題ないものの、趣味や芸術分野で問われているAI問題が釣りの世界にもやってくるかもしれない。

という、まさに未来の釣りを予言するというAIフィッシングとの戦いがあるのが良いよね。SFだよSF。そして、やはりトンデモの奥に見える深いテーマです。

バサーは競うために釣りをするのか?

こうしてAIフィッシングとの戦いがメインとなる中、バス釣りのプロであるレイが本作で悩むのは「どうして自分は釣りをするのか?」ということ。

それは単純なものではなく、トーナメントプロならではの悩みのようなものですね。

競い、勝つために釣りをしているレイですが、それが楽しく感じなくなっているというか、これはもしかして、プロには結構あるあるな悩みなのかなぁと思ったり。

また、バス釣りは他の釣りに比べてサイズで競い合うような文化が根強い釣りです。プロでなくとも、人とサイズを競い合ったり、そもそも魚の計測の仕方も厳格なところがあったり、なんか見てて「めんどくせーなーバスは」と思うレベルで、妙な競争意識を持っている人もいます。

そういう世界に「果たして、一体なんのために釣りをしているんだろうか?」という疑問を投げかけてくるのが本作のテーマですね。うん、どうして人は釣りで競い合うのでしょうねぇ?

てなわけで、本作のあらすじをザザーっとどうぞ。

映画「釣神Ⅱ フィッシングマスター」あらすじ

刀根組の野望とレイの勝利

かつて、バスブームに乗じて湖にバスを大量に放流し、バス関連事業で大儲けを狙った刀根組。しかし、役所と共謀して湖の漁業権を得るために開催したトーナメントでレイに敗れ、その権利はレイのものとなった。

その後、ナオキの自由と引き換えに漁業権を譲り渡したレイだが、湖はすでにバスの増殖で死にかけていると指摘する。これを知った刀根組はバス釣りを諦め、湖のレジャー開発に乗り出すことに。そしてレイを倒すために、新たなアングラー・八木沼を雇う。

八木沼の過去と刀根組の陰謀

八木沼はかつてトーナメントで優勝したが、ボート事故により5年間のリハビリ生活を余儀なくされ、右手の指を一部失ってしまう。また、事故の責任を押し付けられプロライセンスを返上させられた彼は、バスプロに対して強い恨みを抱いている。刀根組はそんな彼を新たなヤクザのバスプロとして雇う。

レイのスランプとナオキの苦悩

一方その頃、レイはスランプに陥っていた。トーナメント以降、なぜバスを釣るのか、金のために釣りをしているのではヤクザと同じではないかと悩み始める。加えて、湖のバスが減少し、思うように釣れなくなっていた。そんな中、訪れた釣り人が一投でバスを釣り上げるのを見て衝撃を受ける。

そんな中、貸しボート屋の敷地にブルドーザーが押し寄せ、建物を破壊しようとする。元刀根組のバサーであるナオキが駆けつけ、「いきなり人の土地を壊すなんてどういうことだ、土地の権利書があるんだぞ!」と抗議するが、実際には貸しボート屋は権利書を持っておらず、漁業権を得た刀根組が湖の権利を所持していた。

ナオキの決意とレイの怒り

これに憤慨したナオキは刀根組に乗り込み、トーナメントが役所との不正行為で行われたことを公表すると脅す。しかしその結果、ナオキはボコボコにされ、簀巻きにされて湖のほとりに放置される。それを発見したレイは怒りに震え、ナオキを抱きかかえる。

過去の約束とナオキの告白

過去の回想が入る。かつて湖で一緒に釣りをしていたレイとナオキ。レイはナオキをアメリカに連れていくと約束していたが、ナオキはアメリカには行けなかった。レイが一人でアメリカに行ったことを恨み、自分が捨てられたと思っていたと告白する。そして「レイを超えるために毎日釣り続けていたが、気持ちは晴れなかった」と涙ながらに語る。

ナオキにとってレイは憧れで、本当の兄貴のように慕っていた。「もう一度一緒に釣りがしたい」と涙ながらに言うナオキに、レイは「できるよ!」と力強く応える。

刀根組からの決闘状

その後、レイはナオキが持っていた手紙を見つける。それは刀根組が開催するプライベートな釣り大会への参加証だった。つまり、レイは刀根組から決闘を申し込まれたのだ。

リュウオンというソフトウェアエンジニアも登場する。彼は釣れる魚がわかるソフトを開発する夢を持っていたが、資金を提供した刀根組の依頼で、レイを倒すためのデータフィッシングソフトを作ることになる。そして八木沼と共に、釣りシステムの開発を進める。

力也の願いとレイの決意

決闘前夜、レイは一人で挑むことを決意し、力也からこの湖を救ってほしいと頼まれる。「バスを全て釣り、湖を元に戻してほしい。お前の父親のように」と。そして力也はレイ用に改造したルアー「ポッパー」を手渡し、「今度はお前が伝説を変える番だ」と告げる。

釣り勝負開始

第一ラウンド:西端のポイントでの勝負

翌朝、勝負が始まる。レイはKEN CRAFTの帽子を被り登場し、八木沼とリュウオンが待ち受けている。リュウオンは「レイの弱点はその強運だ。強運に頼り切ったレイは必ず負ける」と宣言する。そしてプロ崩れのアングラー・八木沼も、「プロには絶対に負けない」と意気込む。

ルールは特殊で、西端のポイントでいち早く3本のバスを釣った者が勝ち。本数が同じ場合は先に帰着した方が勝者となる。釣れる時間は1時間弱という厳しい条件だ。

結果として八木沼が先にポイントに到着し、リュウオンの指示で正確にキャストしバスを釣り上げる。一方、レイも一気に3本を釣り上げ、帰着レースでわずかに先にゴール。勝負が決まったかと思いきや、刀根組は「勝負は一本ではない」と言い出す。だが、ナオキが到着し、無理やり二本目の勝負が始まる。

第二ラウンド:南のワンドでの勝負

二本目の勝負は南のワンドで行われ、制限時間内に最も大きなバスを釣った方が勝ち。レイはスレた場所でトップウォーターで釣るという大胆な選択をし、力也が作ったポッパーで勝負に出る。興奮したナオキとレイは、かつてのように笑い合う。

八木沼はリュウオンの指示に従って釣りを始めるが、途中で「自分は機械じゃない、人間だ」と言い、指示を無視して自分の釣りを始める。そしてコイを釣り上げるが、その楽しさを思い出す。

一方でレイのポッパーにバスがヒットし、レイが勝利する。湖のリゾート開発は中止され、貸しボート屋も守られた。

勝負後の和解と未来への約束

敗れた八木沼は「釣りは楽しむものだと、お前らのおかげで思い出せた。次は俺が勝つ」と去っていく。そしてリュウオンは「今度は中国で一緒に釣りをしよう」とレイに誘い、二人は笑い合う。

そしてラストへ向かう。そう、あのラスト、僕は結構好きというか、懐かしいんですよね。
実際に僕が住んでいた場所の近くの湖でも、おんなじ感じだったんですよ。
いやー、時代を感じるなぁというか、ブラックバス問題ってのは、昔っから面倒なところがあったけど、みんな好きだったよなぁと懐かしむ感じでしたね。

釣神Ⅱ フィッシングマスターは00年代バスフィッシングを語る

こうして1作目と2作目を見たあと、僕の胸中にはあの00年代のバスフィッシングが鮮明に思い出せるようになっている。
そうそう、映画のクオリティとか低いのに、けっこう面白いと思うのって、それがあるからなんだろうなと。
このドラマの中にある「そんなバカな」っていう設定も、じつはあの時あったあんな出来事とか、こんな出来事を誇張して描いているだけだったりするから、わりと深いなぁと思うところがある。

まぁ、この時代を知らない人にとってはわけがわからない所もあるだろうけど、本当にわけのわからないバスフィッシングの時代だったんですよね。うん、ていうかこの映画自体けっこうわけわからないけど、わけがわかる映画よりわけわかんない映画のほうが面白いもの。

というわけで、この釣りVシネもおすすめですので、これからシーズンオフになって暇になっている方はぜひ見てください。

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