の記事はZOOMから発売されているH1 Essentialについてのレビューです。機材購入の役に立つと良いなと思います。
ちなみに、僕は自然の音が大変好きです。
なので釣り場の音が大好き。やっぱり本物の自然の音が好きなので、釣りの最中によく耳をすませています。
渓流はとても豊かな音がする場所ですよ。山の中でも特に音が豊富。
なにせ水が流れていますし、水音の変化も大きい。渓流の音はみんな大好きだと思っています。
それから風の音も多いですよね。ちょうど木々がなくなる谷間にあたるので、そこを風が抜けていくから、葉が揺れる音とかも豊富。
そして生き物の声です。特に朝方は多いです。鳥が一番多いですが、シカの声もしますし、一体なんの生き物かさっぱりわからない声は渓流あるある。時々野鳥系や動物系YouTubeなどを見てあの謎の声の正体を調べたりしますが、いまだにわからないものも多いですよね。「一体なんだあの生き物は、気持ち悪すぎる、早く山を降りよう!」と思ったら、たぶん僕が出す熊よけ用の大声です。録音しないでください。
ZOOM H1 Essentialを使っていろんな音を録音した感想
このマイクで音を録音するのはZOOMのH1 Essentialです。
ちなみにこちらが、僕はフィールドレコーディングをはじめ、様々な録音にはまったきっかけの代物であり、現在自作マイクを作りはじめてしまった原因です。ああはやく渓流の音が録りたいよう。
というのは良いとして、こちらはハンディーレコーダーとしてはエントリーモデルなんですが、32bitfloat録音が可能というすぐれもの。つまりゲイン調整が要らないんです。
そして、とにかく軽くてコンパクトなので、手軽に音を録音したい人にはもってこいのアイテムです。
僕がこれを買ったのも、結局は古いハンディレコーダーが重いしかさ張るというのが大きいです。
なんせ釣り道具もって山登って渓流歩いきながら録音しようって言うんですから、やっぱり小さいのが欲しい。おまけに装備はなるべく軽くしたい。さらに取り出したらすぐ使えるのが良い・・・とまぁ、とにかく「手軽さ」最優先。
しかしマイクの性能はやはり値段相応です。
単一指向性の10mmのマイクカプセルはこのサイズとしては申し分無いのですが、自然音の録音では近距離の音しか拾えませんし、プリアンプの性能もソコソコレベルなので、ノイズが出やすい。
はやいはなしが高性能なマイクではまずない。
フィールドレコーディングとして使う時にはここが一番の注意点。
このハンディレコーダーでなんでも出来る!なんてことはまず無い、ほんとうに手軽さというか、機動性というか、スピードというか、そういう色んな「軽さ」最優先の代物です。
近い距離の音を録音するなら使える
このZOOM H1 Essentialは見た目とスペックを見ればわかる通り、マイクは小型で、なおかつ感度特別高いわけではない。それから単一指向性であって、耐音圧だけはそこそこあるというもの。
つまり、本来は楽器の音を収録するためのアイテムで、それも本番用のプロ向けレコデーィング機材ではない。自宅やスタジオで演奏を練習するときに使うことが第一目的というか、アコギとか、バイオリンとかで使ってる人を良く見ます。
なので、自然音でも、かなり広い範囲の音を拾のは無理です。
個人的には、なんかそのあたりで発生している音を収録するというか。
渓流の音を収録することはできますが、遠くで鳴いてる微細な鳥の声となると無理です。
そして音を大きくするとノイズが聞こえやすい。大きい音に対しては32bit録音のおかげで音がツブレル事はないんですが、小さな音にはとっても不利。
つまり、遠い音を取るとか、かなり広い環境音を録りたいという用途で使うのはまずダメ。
そうした広い場所の環境音を録音するのはXLR接続で使うペンシル型のコンデンサーマイクやショットガンマイクの仕事。
ということを知っていれば、そもそも音源が遠い音を拾うような用途で買う人はまず居ないはず。
ただ、何も知らないで買うってこともあると思うので一応書くとすれば、これは、あくまで近距離の音を拾うもので、音質も最高レベルなんてモノじゃないです。ほんとうにエントリーモデル。そうした録音がしたいなら、マイク付きであってもXLR接続は付いていたほうが良いので、ZOOMならH4以上が推奨。
ただ、そうなっても結局XLR接続メインになるしカメラと一緒に使う人が大半なので、最初からコンパクトなF3を買っていくわけです。で、だいたいマイクとF3を一緒に買ったら、5~6万ってとこでしょうか。
つまり、1万円くらいのマイク付きの小型ハンディレコーダーというのは、お手軽すぎるエントリーモデルですし、なんこう、すっごいマイク!みたいな想像はしないでください。そういのじゃないです。むしろH1が期待されすぎてて可哀想。こいつ新人なんすよ?
ただ音のレベルはスマホやカメラに比べるとかなり高詳細かつ、ステレオ録音が可能。
そして使える32bitfloatというゲイン調整が要らない機能の他、スマホやPCに接続してそのまま使えるオーディオインタフェース搭載。
そして小型軽量という点や、値段の安さなどをふまえると
「プロみたいな音質が欲しいわけじゃなくて、手軽に良い音が取りたいです、ゲイン調整とかめんどいしできません。楽器の練習でも使いたいです。あ、普段から持ち歩きたいんで、ポケットに入る位のやつがいいですね。あと、なんなら配信とかも使いたいし、SNS用コンテンツとか、YouTubeとかで動画投稿とかしたいんです、しかもステレオ使えるとなお良いです。でもお金なんてないです!」
という、質素なふりして、あるいみ結構贅沢な要望というか、なんかもうだいぶワガママな人向けのアイテムというモノです。
つまり雑用もやってください、そうおっしゃる?みたいなやつですよ。
でも雑用も大事な仕事。それが令和に大事な心。
そしてやはり、それこそが人の持つ欲求の本質。
安くて、そこそこ美味いのがみんな好きですからね。
音質良くないけど汎用性は高い
音質はまぁまぁ硬いタイプ。それから録音できる音がだいぶ小さいです。
録音できる音量はスペック的に仕方ないとして、音の硬さですかね、一番のネックは
それはイコライザーの調整で一応なんとかなりますが、ここも好みの問題がかなり大きいですからね。
逆に低音が強くでるマイクのほうが籠もって聞こえて苦手ですっていう人が結構いるので、これはコレでアリかなとは思います。
ただ音質にこだわりはじめると、やっぱり10mmの単一指向性コンデンサーマイクを選ぶ人はもう居ないし、さすがに付属マイクなんて使わない。とくに音が小さいなと思ったら、もうXLR接続のコンデンサーマイクに即変えたほうが良い。
ただ、このレコーダーは3.5mmのプラグインパワー方式が使える上、ポケットに入ってしまう小ささ。
ゆえに、ピンマイク(ラベリアマイク)のために使う人がよく使っています。
録音という観点ではあんまり良い話を聞かないプラグインパワーですが、小型のマイクはほとんどプラグインパワー方式なのでもう仕方ない。
ということもあり、ASMR用のラベリアマイクをつなぐ機材としてH1シリーズを使っている人をみますね。
それからプラグインパワー方式の他、アウトプット用のプラグもあるので、カメラに接続して使ってる人もけっこういます。なんせ軽いし小さいし、そもそも音声をカメラではなくマイク自体に32bitで録音できるのが良いという意見も。
ただ、コレはアウトプット時にノイズが出やすい機種なんで、カメラに乗せるために買うなら別のものを買ったほうが良い気がします。音をH1側だけで録音するなら良いんですけど、カメラ側に録音するとけっこう使いづらいのでは。
それに、あくまで「他にも色々つかいたい」という人のほうが向いてる機材です。
カメラに乗せて使うだけなら専用のものが良いですが、オーディオインターフェイスを使いたいとか。カメラだけじゃなくて、音だけ録りたい時もあるとか、スマホでも使いたいとか。
といった具合に、スペックは低いものの応用範囲が広いのがzoomのH1シリーズです。
音質の変更はできるけど・・・
マイクの音を自分好みに変える方法は結構簡単です。
まず風防を使用すること、それもスポンジタイプのもの。
これだけで低音が強くなる効果が生まれます。
ただ、録音できる音量がさらに下がるのと、高音が削れてるわけではないので、マイクを覆うカバーの構造を変えるのが一番効きますが、おすすめはしません。メーカー修理が出来なくなりますし、そもそも壊しちゃう可能性がありますから。
しかし現在、僕はH1Essential本体を大幅に改造しています。
というか、色んな電子部品を別の部品に交換しちゃっています。はい、もうまったくの別物になっています。
なので改造よくない!とか言える立場ではありません。
むしろすべての機械は改造のためにあると思ってる一番ダメな客です。
メーカーさんすいません。
音声を綺麗に録音することには向いてないよ
ちなみにこちらを配信用マイクとして専門的に使うとか、音声を録音するのに専用で使うという目的で買うのはまずおすすめしません。
あくまで「それも出来るくらい」の汎用性を求めているならアリって感じです。
その理由が、マイクが基本ステレオ録音であり、このマイクの持つモノラルモードは「LとRの音声をミックスして出力する」という方式だからです。
そもそも音声は基本モノラルで録音するもので、ステレオの出番はとても限られてます。みなさんが見るアレもコレもすべて音声はモノラルです。
つまり、動画制作や配信のためにモノラルで使うのに向いてない。
おまけにモノラルモードがあっても、それは右と左の音が一緒になった音がでてくる仕様となってます。
結果的に、モノラルモードで録音した音声はかなり独特で、強めのコンプでもかけたのか?みたいな、かなり異色の音になります。これが好きって人もいるだろうし、僕はこのヘンテコな音はけっこう好きですが、一般的には嫌われる音です。
それから、ここはほとんどの人には関係ないんですが。
この手のマイクって、自然音くらいの音量なら気が付かないけど、人の声を間近で録音した時、L側にRの音が入って、R側にL側の音が入ってる事があります。
というのも、その構造がね・・・うん・・・こう色々ね、あるのね、難しいことが。
その構造のせいで、ほんとうに微細なんですが、低音部分の音圧だけ、微かに音圧が高い不思議な音になるんですよ。なぜかって、人の声って低音部分が一番大きいから、その大きなぶぶんだけが、L側にはR側が、R側にはL側が微かに混ざり込んでしまうんです。
で、これはステレオで録音して左右分割してもそうなります。よく聞かないと気が付かないですけどね。
なので、僕はこれを改造で修正してしまいました。音に敏感な人は、ここが特に気になってしまうはず。なんか低域だけ音圧たけーなーって感じで。
というわけで、音声の録音をメインに使う人にはあまりおすすめしません。
そしてH1だけではなく、ハンディレコーダーについてる付属のマイクは、基本的には喋り用として作られてません。むしろ環境音を拾う方が向いている。
そのせいで、声だけじゃなく環境音も思い切り拾うし、いろんなノイズもくっつきやすい。単一指向性といっても2つのマイクカプセルをXY型に重ねて録音しているので、集音範囲が広いからそりゃもう盛大に環境音を拾うのです。
ということもあり、音声録音用途もできるけど、あくまで「できる」というだけで、いい声で録音できるとか、そういうのは求めないほうがいいですね。
サンプリング好きには向いてる
次の目的は音のサンプリングでしょうね。
フィールドレコーディングをするにしても、特定の音をサっと録音するという時にはすごく重宝するアイテムです。
こちらも、音質を優先するならもっと良い機材を使うほうが良いんですが、やっぱり携帯性が良いのと、目立たないってところでしょう。
こういうのは映像作品やら音楽作品、またはゲーム制作の過程で「こういう音がほしい」という理由で音を録音しますが、僕のような音フェチは、普段から「お、この音は良いね」などと思った時に、スイッチひとつで即録音できるよう、渓流に行く意外でも、バックにH1Essentialを常に入れて持ち歩いていたりします。
なんせ小さいし軽い、ポケットにも入るので、好きな時に、すぐさま録音出来るのが良い。
スマホに接続して録音できるやつもあるんですが、逆にあっちは一旦スマホに接続して、アプリ立ち上げて、ゲイン調整してというステップがあるぶん面倒。
一方、ZOOMのH1はバックから抜きながらスイッチいれて、すぐに録音に入れる。おまけにステレオで撮れるので音の素材として使いやすい。
このスピード感は小型ハンディレコーダーにしか出せません。
野外録音が恥ずかしい人にも向いている
野外録音をする人たちも、音質より小型の機材を好む人はいます。
かつてゲームの効果音などを作っているカプコンのサウンド部の女性がフィールドレコーディングでスマホに接続する小型マイクのMV88を使っていたんですが、その理由の一つとして「大きい機材を持っていると恥ずかしくて・・・」と答えていたのを良く覚えています。
いやーわかりみが深い。
というか、フィールドレコーディングというのは、そもそもちょっと恥ずかしい趣味というか、不審者になる趣味というか。
なんせマイクもってモニターヘッドフォンつけてそのあたり歩き回るわけで、そりゃ当然変なやつですよ。
しかも、そこで求めてる音もだいたい変。とくに効果音はヘンテコなものが多すぎる。
換気扇の排気音だの、排水溝から出てくる水の音やら、錆びついた鉄の軋む音やら、野良猫の威嚇するときの声やら、地下鉄の階段を登るハイヒールの音やら、12トントラックの走行音やら、謎の起動音やら、高層ビルのエレベーターの音やらもう色々。
これを収録する時に、デカい機材を三脚やらショットガンマイクをもってウロウロするのはどうしても恥ずかしいとなる。そこで、まずメンタルを鍛えないとダメと言われる。独りでショットガンマイクにモニターヘッドフォンつけて堂々と歩けるようになるまで鍛えないと!となる。
というハードルの高さがあるので、小型のレコーダーは目立たないから好きって人もいます。モニターようのヘッドフォンやイヤフォンを使わなくても、出してスイッチオンすればゲイン調整せずとも音は潰れないですし。
それから、その手の音はだいたい偶然出会うだろうし、思いついた時に録音したいから、普段から持ち歩ける大きさが良い人もいる。
shure mv88 に関しては坂本 龍一が楽曲制作のために自然音を収録するのに使っていたりしたののも良く覚えてます。風の音を録音するとかいって、ポケットから出してサーって感じでいきなり音をとり始めていました。
アレも音質的にはそこまで良くなくても、音をイジって何かの作品に利用する場合には大した問題にはならない事が多いというか、そもそも「リアルな音」として使われないんですよね。あの風の音だって、音楽作るための材料の一つです。
それから、サンプリングした音をなにかの作品に用いる場合、わざとチープにすることがとても多い。
ようは周波数を思い切り削るなんてことは当たり前な上、リバーブさせたり、ノイズ被せちゃったりもする。だから携行性を優先させても良かったりします。
小型軽量コンパクトを優先する人におすすめのレコーダー
結論からいうと、こちらはエントリーモデルな録音機材としては良いです。
ただ、使っている身としては、録音機材としてのエントリーならH4のほうが良いと思いますね。XLR接続ついてるし、マイクも付属してますから、あれこそ本当の録音を趣味とする人用エントリー機材ですよ。
一方こちらは、その小型かつ軽量で、なおかつゲイン調整が必要ないという、その機動性だけが利点です。むしろそこが最大の武器みたいなところがあります。
普段から録音機材を持ち歩くとか、予備の機材として持ち歩くとか、音声メインじゃないんだけど、さっと出して使える小さなレコーダーが欲しい人には、やはり32bitの利点も効いてくるのでおすすめできます。