血を流す呪われたルアー?「スクエアフィッシュ」という禁断の疑似餌

不思議なルアー図鑑
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はるか昔、水辺には今では考えられないような奇妙なルアーが存在していました。それは現代の我々の持つ倫理観からみれば「狂っている」と思うしかない代物も多く存在します。

そう、過去とは常に良いものではありません。美化されたノスタルジーのベールをめくれば、つねに後ろ暗い恐怖と混沌が支配している・・・これは釣りの世界も同じです。

そんな古の狂気的ルアーの一つに「血を流すルアー」と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか?

正式名称は「スクエアフィッシュ」

現在では市場に一切出回らず、記録もほとんど残されていません。しかしその設計を見れば、誰もが不気味さと恐怖を覚えることでしょう。

なぜなら、このルアーは実際に血を流す仕組みで魚を誘うのです。

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出血するルアー「スクエアフィッシュ」

画像引用元:https://lurelore.com/bleeder.html

「このルアーを水の中に入れると、突然血を垂れ流しはじめる。その血につられて魚が集まるのだ」

このような恐ろしい文句によって宣伝されていたスクエアフィッシュは、大型のトラウトやパイクを釣るためのアイテムとしてカナダで開発されたと言われます。

しかし流通量は極めて少なく、市場でも目立って売られることはほとんどなく生産中止。情報も極めて少ない幻のルアーの一つで、今では、このルアーに関する情報はインターネット上にほぼ存在せず、書籍にのみ詳細が記されています。

それによれば、この不気味な見た目も当時不人気であった理由の一つです。

「スクエアフィッシュ」の外見はとてもシンプルですが、謎めいた部分が多くあります。

金属リップ付きのよくある古いミノーのようですが、本体が赤く塗装された金属製のボックス状になっており、後部にはいくつかの小さな穴が開いています。

さらに、ルアーと一緒に謎の白い瓶が付属していました。

瓶のパッケージには「Warning(注意)」の文字と共に、次の言葉が記されていたのです。

「dried blood(乾燥血液)」

つまり、このルアーは乾燥血液を本体内部に詰め込むことにより、水の中で血を流しながら魚を釣るように設計されていたのです。

スクエアフィッシュは様々な血を流す

血の匂いに魚はとても敏感です。

フィッシュイーターはその血の匂いを嗅ぎ分け、獰猛に襲ってくることは昔から言い伝えられてきました。それはピラニアに限らずマス類も同じです。

そこで、疑似餌に本物の血液を乾燥させた粉末入りのカプセルを入れ、それが水中でゆっくりと溶ける間、ルアーから血が流れるようにしたのがスクエアフィッシュなのです。

こうした乾燥血液は日本ではまず手に入りませんが、家畜用の乾燥血液は海外では市販されていることが多いです。

しかし、このルアーは乾燥血液だけを使うわけではなく、タンパク質や生の血液・・・・つまり、あらゆる肉類を詰め込んで使えるようになっていたらしいのです。

恐ろしい仕組みかと思うかもしれませんが、説明書によれば魚肉、鶏肉、豚肉、牛肉、レバー、ソーセージといった様々な肉類をルアーの中に詰め込んで魚を釣れるというものでしたし、この中に血が出るように傷つけた生きたエサ・・・

・・・・つまり傷をつけたミミズや魚を閉じ込め、その生き血で魚をおびきよせて釣ることも可能だったといいます。

現代は多くの場所で使用できない禁断のルアー

さて、この血を流すルアーですが、このルアーが作られたカナダではまず使えません。

なぜなら、カナダの多くでは血はもちろん、活餌を使う釣りができないどころか、人間が食べる肉類を餌に使うことすら禁止されているからです。

これは北米地方に多く見られるルールであり、このスクエアフィッシュを使ったとしても、その中に粉末の血液を入れるのはアウトでしょう。それに、魚や肉を入れたりして血を流すこともおすすめできません。

そして、このルアーが作られた時代ですら禁忌扱いされていた節があるアイテムで、そもそも疑似餌で魚を釣るのに本物の血や肉を使うのはどうなのか?という考えをアングラーたちは抱いていたことでしょう。

たしかにその通りで、ルアーやフライをやる人間にとってスクエアフィッシュは忌避すべき点が多くありますし、なにか禍々しいルアーを見ている気持ちになりますね。

この禁断のルアーを応用して新たなルアーを作れないか?

古の時代に生み出された血を流すルアー「スクエアフィッシュ」。

その使用は今や禁じられている地域が多いわけですが、こと日本のとある釣りにおいては少し状況が異なります。

それは、北海道のアキアジ釣りです。

この釣りでは多くのアングラーが「ルアー」+「魚やイカの切り身」という方法でサケを釣っており、それが主流ともいうべき釣り方です。

この魚やイカの切り身には、サケが好むといわれるカツオの粉末やニンニクなどをまぶした上に、赤い着色料を使うことも多い。そう、スクエアフィッシュと原理的には一緒で、魚が好むタンパク質の匂いと赤い色を使ってサケを釣っているのです。

また、そもそも生き物の血の匂いにサケはとても反応がいいです。

過去に釣りたてのウグイの切り身を使ったことがありますが、ニンニクやカツオの匂いをつけたエサと同等か、それ以上の効果があった経験があります。

であれば、スクエアフィッシュのような仕組みは鮭釣りでも有効ではないのか?

と考える理由の一つに、サケ釣りでは「餌取り」と言われる別の魚たちにより、匂いのついた魚の切り身やイカが食べられてしまう現象があるのです。

さらに、キャストすると魚の切り身が吹き飛んでしまうことも多いです。

では、それを防ぐためにスクエアフィッシュのように、ルアー本体にエサを格納して、エサ持ちを良くする工夫も可能かもしれません。

たとえばタコベイトの中、もしくはスプーンの上部や下部、あるいはスプーン本体の内部。これらにエサを格納できれば、エサ取りやキャスト時の身切れを防ぐことができます。

理想的には、タコベイトに何らかの工夫を加え、内部にエサを仕込めるようにするのが良いと思いますが、一体どうやるのかは不明です。

しかし、サケ釣り用の自作ルアーを考えている方にとっては、このスクエアフィッシュのように「ルアー本体にエサを格納する」というアイディアは参考になるかも。

もしもサケ釣りのマッド・サイエンティストになりたければ、この禁断のルアーをぜひ参考にしてください。