渓流用として発売されているスプーンの多くは肉厚形状。
そう、なんか昔から渓流用のスプーンって「肉厚」なモノほど良いとされて来たんですが、僕としては肉厚なスプーンも使うけど、厚みの薄いモデルも結構使うんです。
しかしながら、渓流用となると肉厚のスプーンが主流なんで、薄いのはナカナカ少ない。ダイワのクルセイダー5g位薄いヤツがぜんぜん無い。クルセイダー5gは春先になると僕の主力スプーンとなり大活躍するんで、こういう薄いやつ好きなんですよ。
ということで、今回は「渓流スプーンの板の厚み」という、大変マニアックなお話をしていこうと思います。
なぜ渓流用のスプーンは肉厚モデルが多いのか

渓流スプーンが肉厚になる理由の一番は、流れが強い場所で使うからです。
日本の渓流ルアーフィッシングは強い流れの中でも姿勢を崩さず、ダウンクロスで投げても水面から飛び出さない性能が求められます。止水域で使うのではなく、流れの中を逆引きさせる傾向が強いのが特徴でしょうね。
その条件を満たすルアーとして、ミノーは非常に優秀なのですが、スプーンはどうかというと、やはりリップや先行能力が無いので辛いところ。
というわけで、とりあえず肉厚で重いコンパクトなスプーンを使うことにより、強い流れの中でも浮き上がりにくいモデルがどんどん増えて行ったと考えています。
しかし昔のスプーンは湖用のものが多く、今にくらべれば比較的薄いモデルが主流です。
そういったスプーンは軽快に動き、ヒラヒラと不規則にアクションする面白さがありますが、渓流の速い流れの中では暴れやすく、浮き上がりが早く、レンジが安定しません。
そして、渓流でスプーンを使う人はダウンクロスを主眼に置く事が多いのも事実で、とくに川幅が広いエリアで使われる本流用のスプーンはダウンクロスを主軸に使う事が多く、さらには遠投性能をスプーンに求める人も多いです。
なので、水圧を受けにくいコンパクトな形状で、板厚を持たせたスプーンが必要とされていますし、最も渓流に適していると思います。
肉厚スプーンの特徴

肉厚スプーンは渓流ではメリットが多くあります。
まず大きな特徴として、流れの中で姿勢が安定しやすいことが挙げられます。厚みがあることで浮き上がりにくく、強い流れの中でも破綻せず泳ぎ続けます。アップでも使えるけれど、ダウンでも使えるる・・・そんな性能は肉厚のスプーンでなくては出せません。
また、肉厚スプーンは同じ重量のその他渓流ルアーに比べると比重が高く、遠投性能に優れています。
そのため、キャスタビリティに優れており、幅広いエリアをチェックすることができます。
このため、肉厚形状のスプーンは渓流ではあらゆるエリアで使用可能な万能性能といえます。
しかし、やはり弱点も存在します。
・動きがやや重たい
・弱い流れではアクションが鈍くなる
・ナチュラルさが必要なときに強すぎる
特に渇水期や低活性時、魚が虫や小さな漂流物を啄むような状況では、肉厚スプーンはスローな動きを不得意としているため、なかなか釣れない事も多いです。
薄板スプーンの魅力

一方で、薄板スプーンはアップクロス。つまり、上流側に向かってスプーンを投げる事に特化したスプーンといえます。
スプーンを上流に投げて動かす場合、高いレスポンスが必要な事が多いのですが、薄板スプーンは水を受けた瞬間から動き出し、軽快なアクションを生み出します。
また、弱い流れでもアクションするため、低活性の魚やナチュラルな動きを好む状況では非常に強力。そんな状況となりやすい渇水時でも、フォール速度の遅さや浮き上がりやすさを利用できます。そう、フワっと動かすことが出来るスプーンなんです。
また、薄板スプーンは漂わせる釣りやドリフトで真価を発揮します。ラインスラックを残しながら自然に流すことで、まるで流下昆虫のように魚へ違和感なくアプローチできます。そのため、渓流特有のプレッシャーの高いフィールドや、魚が警戒心を持っている状況では、薄板スプーンの方が有利になる場合が多いです。
ただし、薄板スプーンは肉厚のスプーンより弱点が多くあります。
・強い流れでは暴れやすい
・レンジキープ性能が低い
・飛距離が安定しにくい
とくにダウンクロスを不得意としているので、あくまで流れの上流に向かって投げ続けることが前提。激流ではまったく使い物になりません。深い場所も不得意。なので、小さな渓流での使用率は高くても、ソレ以外となると使いづらい代物なのです。
結論:肉厚と薄板、両方必要です

ここまで解説してきた通り、肉厚スプーンと薄板スプーンは役割が異なります。「どちらが正解か」ではなく、「どの状況で使うべきか」が重要です。同じ形状・同じ重量であっても、板厚が変わるだけでレンジ、操作性、波動、アクションが大きく変わります。
僕自身、渓流でスプーンを使うときは必ず肉厚と薄板の両方を持って行き、その日の流れや魚の反応を見ながら使い分けています。例えば増水した渓流や流速の強い場所では肉厚スプーンが頼りになりますし、逆に活水や、魚の活性が著しく低い場合は薄板スプーンが主役になります。

