ヤマメやイワナを狙う渓流ルアーフィッシングの中ではイマイチ人気が無いルアー、それがスプーン。
ぶっちゃけ1位はミノーで、2位がスピナー、そして3位がスプーン位の勢いかも。
けれど、渓流をスプーンからはじめてから未だにスプーンを使い続ける僕からすると
なんかスプーンの扱い、みんな悪くない?
と思うんですよね。
なんだろう、なんか忘れられガチというか、使うの後回しにしがちな気がする。
けれど、渓流ルアーフィッシングのスプーンはかなり便利なアイテムなんで、今回はその点について詳しくご紹介
渓流におけるスプーンのメリットとかを喋った動画
渓流でスプーンについてのライブ配信をやっていました。
普段はふざけた配信しかやってませんが、たまに真面目なことを喋るんですよ僕は。
でまぁね?
ヤマメやイワナを狙う渓流ルアーで使うスプーンというのは、大抵2~7gのタイプです。
特に出番が多いのが3g~4gのタイプ。
この2つがあれば、大抵の渓流はカバーできると思います。
ただし、スプーンはミノーのように「重かったら底を攻めやすい」の理論があまり当てはまらないケースも多いので、次のポイントをしっかり覚えておきましょう
肉厚と肉薄タイプ
渓流用のスプーンは普通のトラウト用スプーンとは違い
なぜかボディの分厚い「肉厚タイプ」があります。
有名なところだとダイワのクルセイダー激アツなどですが
どのメーカーのスプーンも、やけに分厚いタイプのスープを売っていたりしますね
というか、全体的に見ても、管理釣り場用のスプーンと比べると、渓流用はどれも若干分厚めに作られているものが多い。
そのぶん表面積は小さい・・・ってタイプが多いのですが
これ、ようは
「流れの中でも簡単にボトムが取れるように」
って理由で肉厚気味の設計になってるんです。
でまぁ、わざわざ説明するまでもないですが
スプーンのフォール速度は「重量ー表面積=沈下速度」
つまり、同じ重量であっても、幅広いタイプほど沈下が遅く、逆は速い。
だからこそ、同じ3gでも肉厚タイプにして、表面積が小さいスプーン。
つまり沈下速度が速いスプーンが重宝されてるわけです。
他にも、流れの中でダウンクロス気味に引いた時、浮き上がりにくいのも肉厚タイプ。ボトムを攻めるという点で、スプーンを使うなら表面積が小さいやつほど利点が大きいわけです。
肉厚タイプばかり買うのはダメ
しかし、「そうか、渓流は肉厚系のスプーンが良いのか!」
と思って肉厚タイプばかり買うと、実釣で使いにくい場面が出てきます。
というのも、渓流はどこでも水深が深いわけじゃない。
というか、その大半がひざ下ほどの水深しかない場所ばかりだからです。
他にも、雨がふらずに水位が下がっている時もあるので、ボトムに一気にルアーを落とせば釣れる!なんて場面は逆に少ないんですよね。
で、水深が無い場所で、肉厚系を使うと、あっという間にボトムに着底してしまい、根係の原因になるのでストレスがすごい。おまけに塗装もどんどん剥げる。
そして
肉厚タイプは沈下速度と引き換えに、ただ巻性能が落ちています。
スプーンの表面積が削られた結果なのですが、このせいで水深が浅いところでは使いにくく、ルアーを動かすためには、いつもより速く巻く必要が出てきます。
また、肉厚タイプはフォールでのアピール時間が短いので、活性が低すぎる時には効果を発揮しにくい。
つまり、肉厚は確かにボトムにいる魚の前にルアーを送り込みやすいものの、万能タイプではない。
したがって、渓流でスプーンを買う場合には、肉厚タイプばかり買うのはおすすめしません。むしろ、普通の渓流用スプーンをそろえ、その中に1個だけ肉厚タイプがあれば良いな位ですね。
渓流スプーンの基本動作
渓流でのスプーンを使った釣りでは、まずはリフト&フォールを試してみましょう。
なんで?ただ巻きじゃないの?
て思うかもしれませんが、実際渓流ではコイツが一番効果的だったりします。
フォールで寄せて、リフトで食べさせる
渓流での釣りは上流側に投げたのち、流れに乗せてルアーを動かすことが多い。
この時、最も長い間魚にルアーをアピールできるのがリフト&フォールです。
やり方は簡単で、上流に投げたあと、流れに沿わせながらロッドを上下するだけ。
スプーンは川底に到着する前に持ち上げて、ふたたびボトム付近に落としていきます。
イメージとしては「ゆっくり落とした後、ヌルっと速めにリフト」
ちなみに、食ってくるタイミングは、ほとんどがリフトした瞬間です。
しかし、ルアーに魚が近づくのはフォールのタイミング。
ヒラヒラと落ちてくるものに「なんだなんだ?」と魚が集まってきて、それがヌルン!って感じで素早く動き出した瞬間、「うお!」っと、リアクションで口を使ってきます。
このイメージを持ってスプーンを使うと、活性が低くても魚が追いやすく、口を使わせやすいので、まずはコイツを試してみましょう。
ただし、スプーンをボトムに着底させてしまうと、魚がルアーを見失うことがあります。
ボトムを攻めるとは言っても、できる限り着底は避け、その20㎝上を狙うイメージでルアーを動かしていきましょう。
浅瀬ではドリフトを多用して魚を掛ける
魚があまりない浅瀬でスプーンを使うなら、ドリフトを多用するのがおすすめです。
ドリフトとは、とくにアクションをかけず、流れに合わせてルアーを流すこと。
スプーンはこれが他のルアーよりも得意かつ、根掛かりも少ないので大得意。
基本は川底を転がすようなイメージで、ゆるいカーブを描きながらルアーを流していきます。
ここでのポイントは、魚が食ってくるのはダウンクロスに入ってからが多いこと。
上流側からルアーを追ってきた魚はピックアップ直前にルアーに追いつくこともあるので、足元までしっかり引いて、油断しないようにしましょう。
小渓流はマイクロスプーンとただ巻とトゥイッチを駆使する
川幅の小さい渓流では、使うスプーンの重量も軽いものが良いです。
基本3g以下として、1g代のスプーンが効果を発揮することも多いです。
使い方は単純で、ただ巻をしながら、たまにトゥイッチ。
まっすぐ上流側に投げて浅い水深を引いてくることが多いので、軽いスプーンをただ巻しながら、食わせの間を作ってあげると食ってきやすいです。
なお、ここでも水深のある場所ではリフト&フォールが効果的です。
スプーンは渓流ルアーで最も多彩な攻めが可能
しかし、スプーンの武器はリフト&フォールだけではありません。
ただ巻、トゥイッチ、ジャークといったテクニックを駆使し、様々な方法で魚のスイッチを入れることができます。
じゃぁ、どうやって使ったらいいの?
となるとだいぶ複雑であり、そこがスプーンの奥深さの原因。
あまりに手数が多いマニュアル操作が求められるあまり、アクションで頭を悩ます場面もあります。
でまぁ、すごくシンプルな考えとして
対象魚によって使い分けるという方法があります。
・ニジマスは規則的な動きを好むため、動きの変化を抑える。
・ヤマメやイワナは激しい動きへのリアクション率が高いので、トゥイッチやジャークを増やす。
・大型トラウトの場合、あまり激しく動かすとミスバイトが増えるので、ゆったりとしたアクションを心がける。
・小型トラウトは好奇心と攻撃性に訴えるように激しめのアクションで誘ってみる。
といった感じで、おおまかな使い方をターゲットごとに決めてく。
あとは釣り場の状況によって、そこから少しずつ変化させ、最適解を探す・・・というのが一番とっつきやすいかなと思います。
渓流でスプーンを使うメリット
渓流でスプーンを使うメリットて、いったい何だろう?
そんなことを考えてみたんですが、思いの外結構ありまして
逆に、じゃぁなんでスプーンみんな使わないんだろう?と凄い疑問に思うレベルというか
基本性能を考えると、渓流ではメリットだらけのルアーなんですよね、ほんと。
渓流では根掛が少ないルアー
ミノー、スピナー、スプーンという渓流3種の神ルアーのうち、最も根掛が少ないのがスプーンです。
フックが常に上を向いて、フロント側が湾曲し、ストラクチャーを乗り越えやすい。
ソフトストラクチャーと言われる水草系にはめっぽう弱いスプーンですが、乗り越えて躱せるハードストラクチャーメインの渓流ではトップクラスのスナッグレス性能を誇ります。
ただし、だからといって根掛しないわけじゃない
ぶっちゃけ、ミノーやスピナーがビックリする位根掛しやすいルアーなだけで、その性能はクランクベイトより低い。
ゆえに、根掛ロストは普通に起きるので、その点は誤解しないようにしましょう。
コンパクトでも飛距離が出しやすい
渓流では小型のルアーほど釣果を叩きやすいわけで、5cm以下が基本。
重量も5g以下というのがメインになるんですが、こうなるとそう、飛距離が出ない。
しかしその点、スプーンは鉄の塊ということもあり、重量に対する空気抵抗も少なく、他のルアーよりも飛距離が出やすい。
なので、渓流とはいっても川幅が広いエリアになるにつれ、スプーンの出番が増えていく傾向にあり、北海道の本流域になってくると、スプーン一択が普通です。
ミノーやスピナーでも当然探れないことも無いんですが、サイズが大きくなりやすい上、どうしても飛距離が劣りますからね。小さいルアーが有利となるトラウトフィッシングでは、サイズが小さく飛距離が出るスプーンはかなりメリットがあるんです。
圧倒的ルアー強度
渓流は岩がとても多い上、川底も固いものばかり。
それゆえ、ルアーが一日で壊れてしまうのも普通・・・なんですが
ことスプーンに関しては、一日どころか何年使おうが壊れる気配すら無い。
なにせ、一枚の鉄板を曲げて作ったうえ、アイも無ければリップもない。
当然塗装は使うたびに剥げていきますが、塗装が剥げても、中は金属であるため、フラッシング効果は失われず、普通に釣れてしまう。
それゆえ、僕も渓流をはじめた時、最初に買ったスプーンを未だ現役で使い続けてます、塗装が剥げたんで蛍光シールを張って、まだまだ魚を釣ってくれてますよ。
それと、パワフルな大型トラウトとのファイトでも、何一つ不安が無いのも良いですね。
たとえ5gのスプーンであっても、一枚の金属に代わりはない。
ゆえに、それを壊せる負荷を出せる魚なんて、淡水では滅多に居ません。
活性の低い魚に有効
スプーンはフォール中にヒラヒラと舞うような動きで魚に強烈なアピールができるルアー。
それゆえに、魚の活性が低い時期に他のルアーを寄せ付けない釣果を出せることでも知られています。
厳冬期の魚は動きたがらず、口も使いが足らず、そもそも餌も食わないし、テリトリーの奪い合いもしない。
みんな同じ場所で、仲良く水の中で休んでる状況なんで、そんなとこに激しい動きのルアーを入れてもガン無視ですよね。
しかし、小型で、なおかつ規則的な動きを繰り返すスプーンを入れると、バイトは浅いものの、口を使ってくれる魚が急に増えます。
なので、活性が低い時ほどスプーンは有効。
なにを投げても魚が口を使わない時は、奥の手のスプーンを忘れずに使いましょう。
渓流でスプーンを使うデメリットとは?
さて、ここまで「渓流でスプーン最高!」
と言っていましたが、スプーンだって弱点が無いわけではない。
てなわけで、渓流でのデメリットについても書いていこうと思います。
突き上げバイトを弾きがち
僕が渓流でスプーンを使っていて一番思うのは、突き上げるようなバイトをほぼ弾いてしまう所です。
なぜかって、スプーンはルアー本体のフラッシング効果とアピールが強いこともあって、フック側ではなく本体を狙うケースが多い。
しかし、スプーンに付けられるフックは基本1個。
それゆえに、ボディへのアタックは全てミスバイトになるのがタマに傷ですね。
これが起きやすいのは5g以上のスプーン。とくに7gは多い。
なので、ボディ幅が大きいスプーンを渓流で使うときは、ひたすらにボトムを意識。
下からのバイトを回避するように使いましょう。
トリプルフックにすると地獄のような根掛を体験
トラウト用のスプーンは基本シングルフック専用が多い。
しかし、中には標準フックがトリプルってやつもありますが
絶対にトリプルは外したほうが良いです。
前述のとおり、スプーンはボトムをメインに探るために使うルアー
その性質はパイロットルアーに近く、渓流でいうところのクランクやバイブレーションみたいなもん。
しかし、スプーンのスナッグレス性能は、あくまでシングルフックを上向きにセッティングしてこそのもの。
これがトレブルになった途端、たった一回ボトムに接触しただけで根掛を起こす恐怖のアイテムに早変わりします。
ぶっちゃけ、トレブルバージョンのロスト率はメタルバイブレーションより上かもしれない。
なので、とんでもなくデカいビッグスプーンをのぞき
普通のスプーンはシングルフックを装着しなければ
パイロットルアーとしての性能を発揮できない。
しかし、シングルフックは当然トレブルに比べフッキング率が落ちるわけで、リップ付きのトレブル系ルアーに比べればバイトをモノにできる確率は下がりますね。
ただ、シングルフックを重ねて2個付ける、通称「地獄針セッティング」で、フッキング率を向上させているアングラーもいるので、どうしてもって方は試してみても良いでしょう。
エビりやすいスプーンも多々ある
フックとラインが絡んでしまう、通所「エビ」という現象。
ルアーだとメタルバイブの代表的なトラブルとして悪名だかいですが、じつはスプーンもこのエビが頻繁に起きるルアーだったりします。
さらに厄介なのが、スプーンはエビった場合、とんでもない引き抵抗と糸寄れを生むことですね。
これがダウンクロス中におきると、魚が掛かったかのような錯覚を生む
そのブルブル感がほどよく魚っぽいこともあり
「あーなんか落ちパクで食ったぁあ!!」
と、何度騙されてエアフッキングしてきたんだろうか・・・恥ずかしい。
しかし、この現象については回避のしようが無いので、仕方がない
ただ、小型スプーンになるほどエビりません。
渓流ではスプーンはとっても便利
てなわけで、渓流でスプーンはとっても便利なルアーなんですよ。
デメリットはあるものの、低活性に強かったり、アングラー次第で様々な方法で魚を誘える点がとても便利で、使いこなせば「スプーンさえあれば楽勝ですよ」状態になります。
とくにボトムを攻めるのが得意ってことで、大物が潜むような淵の攻略にはうってつけのアイテム。
飛距離も出しやすく、根掛のリスクも低くく、なおかつタフ。
いざという時には、スプーンさえ持っていれば大丈夫なんで、今までスプーンを渓流で使ったことが無い人は、ぜひ一度試してみてください。
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