マスといえばスプーン。
これは野生も養殖も変わらない基本ルアーであり、僕ら釣り人は彼らを釣るのに常にスプーンを多用してきました。
特に管理釣り場のニジマスにはスプーンは絶対的なアイテムであり、スプーンを持ってない人はまず居ませんね。
また、世界を見れば、特に鱒類に特化したルアーというわけでもなく、あらゆる魚種を対象にスプーンを使った釣りが盛に行われており、ルアーの中で最も多くの魚種を狙えるアイテムとも言われています。
てなわけで、今回は超万能ルアーであるスプーンについクソ真面目なhow-to的な記事をやろうと思っていますが、あまりに深刻になりすぎると借金の額を計算しはじめて鬱になる底辺肉体労働者のαトラウトです。利子ほど怖いものはないからな!
まぁね、本当にお金ってのは怖いよ皆さん。
世の中色んな怖いものはあるけど、地獄の淵まで追いかけてくるのは殺人鬼じゃなくてお金だから。お金がなくても幸せなんて嘘だからマジで。世の中金だから。スプーンより万能なのは金だけだから。
それはいいとして、いやよくない、よくないけど、今回は真面目に書くんだと2章使って自分に言い聞かせています。つらい。だめだ、おち!おちんち!
──と、すでに発作がでていませんが、このままいくしかない。スプーンの釣りに興味を持った方とか、スプーンで釣れる気がしない人なんかは参考にしてもらえれば幸いですよ。
トラウトはスプーンが大好きなんじゃない、僕らがスプーン大好きなんだ
秋になり、今年はトップウォーターを投げ散らかして散々ニジマスを釣っていたんですが、やはり仕事が忙しいと朝の1時間程度しか釣りができなくなってきました。
となると、多様するのがスプーンですよ。すよ。
なんで時間が無いとスプーンなのかといえば
とにかく効率が良くサーチできてできて
アングラー次第で自在に動く
てなところ
どこでも使えるし、根がかり少ないし、とにかく値段も安いから。
特にサーチ能力の高さが好きで
どのエリアか、どのレンジか、全然魚が付いている場所がわからない時ほど便利ですね。
とかいいつ、見えた魚を一発で食わせたい時もぜんぜん使うから、もうなんでも良いんですけどね。もう身も蓋もねぇや。
てなわけで、今回僕がなんでそんなにスプーンを信頼しているのかについてざざーと紹介してみます。
スプーンは小型で良く飛ぶから色々探れる
まずスプーンは良く飛ぶ。
それはもう小型ながらよく飛んでくれる。これが一番好きなところですね。
金属の鉄板を曲げただけだから、プラグより断然小型で同じ重量になる。だから飛ぶ。
だから遠いエリアでも探りやすい。これが一番多用してしまう理由ですね。
これはもうg数は関係なくて、1gでも2gでもプラグより確実に飛びます。
エリアトラウトのベイトフィネスでよく1gまで飛ぶとかやってますけど、あれもスプーンだから飛ぶわけであって、プラグで1gはまぁ飛びません。あれはマジで。
ただ、それならメタルジグのほうが良く飛ぶし、飛ぶというだけなら他にもメタルバイブだって飛ぶ。
スプーンは表面積がそれなりにあるから、メタル系の中ではメタルジグほどの飛距離はまず出ないんですよ。まぁメタルバイブとどっこい位でしょうね。
じゃぁ同じくサーチベイト的な立場であるショアからのメタルジグとかメタルバイブ使えば良いし、僕も良く使ってます。
が、しかしスプーンが便利なのは、ぶっ飛ぶメタル系ルアーの中でもひたすらサーチに優れた性能があるからなんですね。
スプーンはフォールで魚からバイトを狙える
スプーンが良いところは、フォールで即バイトを狙えるところですね。
トラウト相手に過去に幾つもフォールバイトを得てきましたが、やっぱりスプーンでのバイトが一番多いですね。
けれど、スプーンを使ったフォールバイトというのはある種独特で、フォール中に周囲の魚を寄せるような働きがあると思ってます。
バイトを得るというより、魚にガンガンアピールして集めてくれるというか。少し離れた場所にいる魚も「なんだなんだ?」と近づかせてくれるような。
まず、スプーンの着水バイトは結構ありますけど、オチパクって感じは少ないんですよ。
フォールして、さぁ巻き上げようって時に食うとか、もしくは巻き上げようとラインにテンションを掛けた時とか。
これって、別に落ちてきたら即食べるわけじゃない。
というか、そもそも運よく魚の真上に落とせているわけではない。
どちらかといえば、魚を引き寄せる効果が高くて、少し離れた場所にいる魚をフォール中に寄せている気がしますね。
フラッシング、明滅運動、左右へのスライド、水を押す動きなど、とにかくアピールして魚を寄せることができる機能がとても高く、アクションを掛けている時なみに寄せて来る。
というか、スプーンてフォールもリトリーブも、ほぼおんなじ動きをしてる。
だから、フォールで魚を追わせ続けられる。
さらにフォール速度がルアーの重量に対してそこまで速くないんですよね。水の抵抗をルアー全体でもろに受けるから。
だから魚にアピールしつつ、フォール時間を稼げる。
これで魚を寄せる時間を稼ぐわけですし、バイトのチャンスも作ります。
リトリーブからストップした時のフォールも一緒で、常にアピールを絶やさず、魚に追いやすい速度で落ちていくからこそフォールで食ってきます。
こういう縦の釣りができるのは、サーチベイトとして便利。
横の線は探れても、縦の線で探れないと、レンジ違いで魚を逃すことにつながりますから。
また、着水からボトムまで一気に魚にアピールできるので、どの層で食ったかで即レンジを定めることもできます。
スプーンは狙えるレンジが自在
続いて狙うレンジが自由な点ですが。
やはりここはスプーンの独壇場ですね。
沈むルアーですし、フォールを使うことで幅広く探りながらバイトを狙えるのが良いところ。
あと、根掛も少ないのでボトムにタッチさせて使うこともできますね。
メタル系ルアーは遠投できて、あらゆるレンジを引けるけれど、どうしてもボトムに弱い。
けれど、スーンは根掛にある程度の強さがあるんで、結構強気にいけます。
特に北海道の湖や広い河川では、スプーンが苦手なウィードやパッドが殆どありません。あるのは岩か倒木、スタンプといったものですから、スプーンを使えば十分に躱せる。だからスプーンが良く売れていたりします。
リアクションバイトを狙いやすい
スプーンはベイトに似せたルアーではありません。
魚の側線、視覚を刺激して釣る、古のリアクション系ルアー。
その性能は魚から側線と目が消えるまで効果が続くでしょうから、あと3000年位は通用するルアーともいえますね。
で、このルアーを僕が多用する理由の一つに、リアクションバイトが誘いやすいというのがあります。
餌を食う気があまり無い時、スレ気味の時、目の前をスプーンが通ると、反射的にチェイスしてしまう魚は山ほどいます。
このリアクション性能の高さゆえに、一発で食わせたい時には滅茶苦茶便利。ここぞという時には、かなりの確率でスプーンを投入してしまいます。
安いよ安いよスプーンが安いよ
でまぁ、やっぱり安いことですよ。
スプーンの値段はプラグの半分以下、というか、あらゆるメタル系ルアーの中でも最安値の部類に入ってますね。
僕が良くつかうクルセイダーなんか500円以下で売ってますし、他に良く使う北海道限定スプーンなんて300円位で売ってますからね。
それでもふつーに釣れるし、スプーンとしてなんら足りない所がない。というか、スプーンは値段によって大きく性能が変わるっていうのがまぁ無いんです、これが。
だいたい鉄の板を切り出して、そいつを曲げたという原始的なルアーであり、最悪曲がってなくても釣れる。(わりとガチで)
てなわけですから、ハードプラグの中でも抜群のコストパフォーマンスを誇っている。
だからこそ気軽に投げやすいんですね。
スプーンは状況に合わせて様々な攻め方ができる
サーチベイトとしてのスプーンが有効だと思うのは、魚に合わせて様々な攻め方ができることですね。
リトリーブ速度はもちろん、リフト&フォールの感覚や、トゥイッチを入れるタイミング。ジャークを入れた素早い動きから、ボトムをズル引くような方法、さらに水面を波立たせるように引くテクニックといったトップの釣り方にも対応しますね。
もっと細かく言えば、スプーンはロッドワークやリーリングだけでなく、引く時のラインテンションの張り方や、指先でラインを弾いて、微細な変化を与える方法もありますね、うん、まじで細かいよ。
てなわけで、これだけ多彩な扱い方が存在する以上、あらゆる状況に対してテクニック一つで対応することができる。
だから僕も、トラウト相手なら何を投げようか迷ったら、結局スプーンを使ってしまう癖があるんです。
テク次第で思った通りのレンジ、スピード、アクションが出せるから、迷うより先に確実に攻められるスプーンを選んじゃうクセがありますね。
何でも出来るからこそスプーンは難しい
ここまで読んで、ああスプーンってすごい万能なんだなーとか思うかもしれませんが、
ただ、だからこそ使うのが難しいのがスプーンなんですよ。
なんせスプーンって、なんか初心者用のイメージがありますよね。とりあえず巻いていけば釣れるみたいな?
けれど、そこからさらに先があって、様々なテクニックを駆使すると、色んな場所で色んな魚が釣れるとする。
でも、そういう奥深い万能さっていうのは、便利さでもあるけど、使いこなすのにかなり頭を使うことになるんです。
普通のルアーはテクニックが上に来ると思うんですが、スプーンの場合、テクより圧倒的に頭ですね。
なぜかといえば、スプーンはやれることが多すぎるから、まず何をやるか選ばないとならない。それが難しい。
ルアーは限定的な機能ほど使うのが楽
そもそも、ルアーにある程度限度があるということは、それだけ何かに特化しているルアーですよね。
ミノー、クランクベイト、トップウォーターなどなど、使い方に制限があるものは、言い換えれば、その制限の中で最も力を発揮する作りになっています。
一方、やり方次第と言われるスプーンは特に何かに特化しているわけでもなく、使い手次第であらゆる釣り方ができる。
ということは、すごく自由ですよね。
自由ってのは良いもんですけど、指標がないという意味でもある。
つまり、結局このルアーはアングラーがどう使うか、マジで一から考えないといけないんです。
実は、前に渓流でスプーンで釣れる気がしないという人が居たんですけど、その人は「シンキングミノーのほうが簡単」というんです。
僕からすると、ただ巻くだけで釣れるし、ボトムだって取れるし、そもそも根掛もしにくい上、フォールバイト率も高い。釣りやすいし、入門に最適なはずなのに、なんでシンキングミノーの方が簡単なのか疑問だったんですけど、彼が言うには
「ミノーは釣り方がすぐわかるし、パターンがある。でも、スプーンはよくわらかない」
というんです。
確かに、渓流用のミノーは使い方がほぼ決まってるんです。トゥイッチングとシェイク、この二つをやり続ければ良いし、それ以外の使い方はあまり通用しないルアーだったりします。
けれど、スプーンは他にも色々とやれることがある。というか、ありすぎる。
こうなると、何をどうすれば釣れるのか、試すべきことが多すぎて混乱するんだそうですね。
そういわれると、確かに釣っている最中「これでいいのかな?」と、結構悩むことが多いルアーです。
最初はただ巻くだけだったのが、テクニックが増えるにしたがって「この状況で、この使い方でいいのか?」「フォール長めのほうがいいのか?」「ボトム狙いにすべきか?」「これトゥイッチいれるべき?それともリフト気味のジャーク?」と、まぁいろんな可能性への不安が出てくるんですよね。
しかも、ただトラウトにしても、ネイティブと管理釣り場ではまったく釣り方が違う上、ストリームになるとさらに違う。
さらに場所により選ぶスプーンもg数も違う。そして魚種ごとにアクションの違いがある。
つまり、めちゃくちゃ話が長くなる。
スプーンの話をWikipediaに書き込み続ければ、サーバーがダウンするかもしれません。
けれど、それがスプーンの奥深さ
この記事程度ではまったく語りつくせない、そういう代物。
世界最古の疑似餌でありながら、今なお現役でアングラーに使われ続けている理由。状況にあわせ、ひたすら頭を使って魚を釣る。そのゲーム性はスプーンの中に全て詰め込まれているんです。
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