僕にとってスピアヘッドリュウキとは一体どんな存在なのか?
そんなことを考え始めてしまったのは、2019年2月にリュウキの38sが販売されたのが原因なのか。
それとも、もうすぐやってくる渓流シーズンのためにタックルボックスの中身を整理していたのが原因なのか。
ともかく理由は定かではありませんが、今一度リュウキについて考えなおしたい。というか、リュウキは結構あたりまえに使っているけど、特別語られるルアーじゃないかも。僕にとっても、きっとトラウトを狙う人には基本中の基本的ミノーだけに、タックルボックスの中に一つは入ってますが、だから特別「すごいよこれ」と言われない存在。
そんな渓流リュウキの50sと45sを中心に、あらためてその存在価値について真面目に考えていこうかなと思っているαトラウトです!いけー!スピアヘッド!
とか意味もなくスピアヘッド!って叫びたくなるんですけど、やっぱりなんか突撃していくイメージが強いルアー。
丁寧に攻めるとか、ここぞという場所で使うというよりも、ひたすら投げた押し、ひたすらトゥッチして使うサーチ系ルアー。
ここでリュウキ!というより、まずはリュウキ!って感じです。
スピアヘッドとは最前線という意味
そもそもスピアヘッドってどういう意味なんだよって話ですけど、その語源は槍先を意味するもの。
一番槍とか昔から言われているくらい、こと戦闘においては真っ先に敵に切り込む役割があることから、英語では「最前線」を意味しています。
つまり、いつだって一投目で使われることを想定したルアーということ。
何が起きるかわからない水の中に1番槍として突っ込んでいくルアーだけに、ロストした場合のダメージを抑えるため値段も安く、なおかつ頑丈というタフネスさをクリアしなくちゃなりません。
そういうコンセプトのもと作りだされたのがスピアヘッドシリーズ。
まさしく最前線の兵士的なポジションにいるルアーだけに、基本性能の高さはもちろん、トラウトルアーの中では数少ない万能性能と、異様ともいえるタフネス&コストパフォーマンスが魅力です。
頑丈で万能なスピアヘッド・リュウキのリップ
リュウキの50sや45sといった渓流用モデルのミノーは、リップ部分が細くて分厚いのが特徴です。
このリップを見ただけで「あ、リュウキだ」ってわかる位目立つし、他の渓流ミノーにはまず見ない形。しかも真似されることも無い。
というのもこのリップ、渓流の釣り上がりではかなり不便なんですよ。
リュウキ使いの方は頷いてらっしゃるでしょうが、特に45s、こいつは釣り上がりでは苦労することも多いです。
水噛みがかなり悪い
まずこの細いリップは水をあまり噛みません。
そのせいで、釣り上がっていく渓流では他のヘビーシンキング系ミノーよりも大き目のロッドワークが余儀なくされる。
50sでは少し苦労するくらいですけど、45sになると明らかに大きなロッドワークじゃないと反応しない。
だから普通のヘビシンの感覚で使うと「なんか使いにくいな」って思うところも多いんですよね。
僕も45sに関しては、かつてアルミ板を使ったリップ増設カスタムを行い、アップクロス特化型に改造したことがありましたが、それだけでも扱いやすさが数段アップ。
それくらい渓流の釣り上がりでは不便としか言わざるを得ないリップなんで、他社ではまずこのリップ形状は真似されていません。
ただし、この細く分厚く水噛みの悪いリップは、万能さという意味ではかなりありがたい存在だと感じています。
ドリフトやダウンでの性能は他の渓流ミノー以上
このリップはアップクロスだけを想定したものではなく、あくまで万能性能を追求したものだと思ってます。
なので、アップクロスだけじゃなく、ドリフト、ダウンとなんでもこなせる。
アップクロス特化型のミノーはリップ面積が大きく、動き出しを早くするため細く作るのが基本ですけど、それだとダウンクロスですぐにひっくりかえる。
けれどリュウキの細いリップはダウンクロスでの釣りでは抜群に強くて、まったくひっくり帰らないし、浮いてこない。
そんな特徴があるので、ダウンクロスで狙うポイントは、結構な頻度でリュウキに付け替えて狙ってますね。
特に強い流心に投げ入れても動かしやすい渓流ミノーはなかなか無いんで、ここぞとばかりにリュウキを放り投げます。
それに60sから上のリュウキ達は、基本的に本流をダウンクロスで引くために作られているタイプばかりなんで、基本性能はやはりそこにあるんじゃないかと思ってます。
スレている魚にも効く
アクションがタイトなので動かしにくいのですが、そのぶんスレてる魚も釣れるという万能さは捨てがたいところ。
派手めのアクションは高活性な魚を効率良く釣れますが、場がスレるというリスクも大きいし、スレた魚には逆効果な場合もある。
けれどリュウキは動きが抑えめで作られているので、スレが少なく、場を荒らしにくい。
これも渓流で1投目で投げるルアーには結構大事な性能かも。
どの状況でも魚を釣るという意味でも、やはり派手過ぎないほうが良いし、狙ったレンジをサーチするという意味であっても、やはりこのリップ形状のほうがコントロールしやすいです。
一番槍に相応しい飛距離とタフネス
続いての特徴は、なんといっても飛距離です。
50sで5g、45sで4.5gとヘビーシンキングミノーらしい重量をそなえているので、かなりの勢いでかっとびます。
この飛びもやはり最初に投げるルアーといて重要な部分ですし、パイロットルアーとして投げるのに飛ばなかったら意味ないですからね。
後方重心並みの飛距離とキャスト精度が出る
固定重心ながら後方重心系のミノー並みの飛距離が出るため、やはり一番最初に投げたくなるのがリュウキシリーズ。
その重さと流線形の扁平ボディ、さらにキャスト時の空気抵抗を極力抑えたリップの位置や形状によって、それはもうよく飛びます。
しかも精度もかなりのもので、狙ったポイントにも入れやすい。
ヘビーシンキングだけという理由ではなく、きちんとキャストを視野にいれた形状だからこそなせる仕事です。
値段が安くてロストを恐れなくていい
最後は値段の安さですが、もう本当にこれにつきる。
スピアヘッドリュウキは1000円前後で買えるし、しかも売っている場所もたくさん。
ということは、無くしても簡単に手に入れることができる。
だからこそ一番最初に投げるルアーであり、根係を恐れずビュンビュン投げれてしまいます。
これが1500円、2000円と値段が上がるにつれ、もう怖くて投げることを躊躇わずに居られない。
しかもボトムを狙うなんて恐ろしいし、枝なんかに巻き付いたら終わり。回収不能ですよ。
スピアヘッドリュウキは案外回収率が高い
僕個人の感想としては、スピアヘッドリュウキは回収率がなぜか高いです。
そのため、初期にかったリュウキがいまだにタックルボックスの中にあるし、これからも永遠と帰ってきそうな気もしてます。
回収率が高いのは、ボディ剛性というより、リップの形状と平打ちリングによるものが大きいかも。
まず根係の場合ですけど、リップが岩の間に入るパターンが多い渓流では、リュウキのリップはスコーンと抜けてきやすいですね。
たぶんリップ幅が狭いので、岩の間から抜けやすいんでしょう。
また、頑丈なDUOの平打ちリングが使われているので、PEで引っ張っても針を伸ばして無事に帰還する確率が高いのも。
枝に引っかかった時ですが、こちらも無理やり回収してリップが折れるってケースが少ない。
というか、むしろあのリップで枝を削って帰ってきたこともありますからね。
他のミノーに比べれば、多少無事に帰ってきてくれるルアーです。
リュウキはやはりパイロットルアーに最適?
というわけで、リュウキの性能について書いてみましたが、ここから導き出される結論はずばり
スピアヘッドリュウキはパイロットルアーこそ最適なのでは?
というものでしょうね。
値段の安さ、飛距離、タフネス、万能感やスレにくさなど、あらゆるめんで一投目に投げるべきルアーだと感じます。
他のルアーだと投げるのが怖かったり、はじめてのポイントでよくわからないところは、まずはリュウキを投げてチェック。
その結果、だいたい状況を把握してきたら、そのシーンにあわせたミノーにチェンジするっていうのが理想的です。
それと、やはり他の渓流ミノーにはない高いダウンクロス性能は本流での手早いサーチにうってつけ。
多少川幅が広く水深も深くなると、どこに魚がついているかわからないので、投げながらどんどん歩いていくしかない。しかもドリフトさせて下流にルアーを送りながら。
そういうときにスピアヘッドリュウキがやっぱり活躍してくれるし、流れに強いことや飛距離の高さもあいまって、本流では性能をフルで出し切れる気がしますね。
あとは岩の多い源流域でも、リップの頑丈さとヘビーシンキング性能が生きやすいので、そこでも活躍してくれます。
スピアヘッドリュウキには一番槍であり続けてほしい
というわけで、スピアヘッドリュウキはやはり名実ともに一番槍のルアーだと改めて感じました。
このルアーは、アメリカ軍でいえば海兵隊的なポジション。
敵国に最初に侵入することから「殴り込み軍隊」とすら呼ばれるジャーヘッドの彼らと同じく、敵地がどうなってるか知らされもしなまま、いきなり戦闘を開始する圧倒的なまでの使い捨ての駒っぷり。
僕もリュウキに関しては「とりあえず最初に投げておこう」的な感覚なんで、ロストしてもかまわないつもりで投げてますが、やっぱりそういうルアーがあること自体ありがたいというか…いつも突撃ばかりさせていて申し訳ない気持ちもある。
けれどスピアヘッドリュウキはアングラーに使い捨てのごとく扱われながらも、何があるかわからない水の中へ、真っ先に水の中へと突撃していくわけですから、やっぱり勇敢ですよ。
ということで、僕としてはスピアヘッドリュウキは海兵隊なみに称えられるべき存在だと思ってますので、今夜も「スピアヘッドリュウキは死ぬまで家族だ!」などと、元海兵隊という肩書を持つ数々の映画の主人公たちと同じセリフを叫びながら眠ります。ううん、やっぱりパニッシャーは2のほうが面白い・・・
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